獣医学部に進学したものの、困ったことに解剖が大の苦手。これは致命的でした(笑)。お客様とのやり取りのなかで自分の人間的価値を感じることができ、飲食店でのアルバイトの方がはるかに面白く思えました。

決断は早い性分で、大学は自分には合わないと退学をしました。このときから起業を志していたので、法律や世相を学べる不動産会社へすぐに就職しました。3年間で営業として実績を残せましたし、十分な知識も習得できたので、23歳で起業を果たすことができました。
あるとき、ラーメン店をチェーン展開させたのですが、店舗数が増えると売り上げが下がるという反比例が起きてしまいました。それから、店舗によって味やサービスが異なるという問題が発生したのです。「料理のことは自分たちに任せてほしい」と料理人に言われ、思い切って任せてみたところ、売り上げも大幅に上がり、お店の雰囲気も格段に良くなりました。こうして、現場を信頼して店を託す“トラスト方式”が生まれました。頭ごなしに無理やりやらせるより、役割分担をして自ら動いてもらうことで、効率が上がり、成果に結びつくのです。今後は、「職人と商人のコラボレーション」は、飲食に限らず他の業界でも活用していきたいと考えています。
料理というのは、まったく同じものは二度と作ることはできません。素材や道具が変わってくるので、唯一無二のものなのです。人間も同じで、十人十色。さまざまな個性のある存在で、それぞれ違った潜在能力を持っています。しかし、それを活かすか否かは本人次第。今、一番やりたいことは何なのか。本当に自分に向いている職業は何なのか。自分自身の秘めた可能性を探ろうと努力することが大切です。自分が何をやりたいのかを明確に言えるようになるには一生かかります。それよりも、今、何に最も興味を感じているのかが重要。極端な思い込みでもいいのです。周りに流されることなく、常に自分を中心に置いてください。