大学を卒業して、企業に就職する。そんな当たり前の流れが嫌でした。祖父、父と受け継いできた新英金属ではあったものの、そのまま敷かれたレールに乗ることへの反発があったのかもしれません。大学卒業後、アメリカへ留学。そこで自分の将来について考え、たとえ起業するにしても、新英金属を選ぶにしても、どちらも大変であることに違いはない。それなら、意思を引き継ぎたいと思い帰国後、入社しました。
入社後は営業職としての日々が始まりました。会社が築き上げてきた信頼によって受注をいただくこともありましたが、どうしても1社、取引をしてもらえない企業がありました。担当者を訪問すること一年。当初は話すらしてもらえない毎日でした。ある時その担当者が、社長の息子である私に対して、「どうせ偉くなったら担当しなくなるんでしょ」と言ったのです。そこで「絶対に担当は私がします」と約束しました。実は社長になった今でも、その企業は私が担当しています。約束を守る意味でも、初心を忘れないという意味でも、これからも変わりません。

私は社員に、自分で考えて、自分なりの『答え』を出すことを求めます。私はその企業の担当者から『約束を守る』ことの大切さを学びました。それは、自分なりの答えを持って、担当者と真剣に話したからこそ得られたもの。自分が考え抜いて答えを出さなければ、相手も本音で、真剣に話してはくれません。
社会に出たら、自分で決断しなければいけない場面に遭遇します。その時、自分の知識や経験だけで決断するのでは、どうしても失敗が増えるでしょう。失敗することは悪ではありませんが、ビジネスでは失敗しない方がいいのは当たり前。だからこそ、人と真剣に話すことで、その人の知識や経験に触れ、それを自分のものにしてほしいのです。自分なりの答えから生まれる、本音と本音の交流。それこそが、人を成長させていきます。だから皆さんも、まずは一生懸命考えてください。そして、どのような問題に対しても、自分なりの答えを見つけてください。私も皆さんにお会いした時は、本音で、真剣にお話しします。