幼少期と言えば、常におもちゃの匂いを感じながら育った時代でした。物心ついた頃には、すでにおもちゃ工場の隣に住んでいたので、休みの日には工場に忍び込んで海外のおもちゃで遊ぶのが日課でしたね。両親は教育熱心で、「三代目」としての意識は持たされていたように思います。日本の大学とイギリスの大学を経験し、国際感覚を早いうちから身につけられたことはその後に役立ったと感じています。
28歳でトミーに入社し、アメリカのトミー・コーポレーションで1年3か月を過ごしました。当時のアメリカの玩具市場は、大変化が起こる以前。今でこそ寡占化されてしまった市場ではありますが、当時は小さな会社が15社ほどで競争を行っていました。業界をリードしていくアメリカの玩具企業のトップと触れ合えたことは、貴重な経験でしたね。日本に帰国した後、社長に就任。プラザ合意後の非常に苦しい局面での社長交代となりましたが、この時期は私にとっての良い試練だったと感じています。また、それまでのしがらみが少ない「三代目」だからこそ、大胆な事業再編ができたのかもしれません。非常に苦しい決断の中でも、支えてくれた周りの人がいたからこそ、乗り越えることができました。

それから25年。私たちはさまざまな取捨選択を行いながらここまで歩いてきました。それは、人生においても言えること。何か大きな変化を迎えるにあたり、何かを捨てなければいけない状況に迫られます。しかし、失うことばかりに目を向けることなく、きっぱり諦める。すると、代わりに大きなものを得られることがあるのです。弊社はこれからグローバル市場へ挑戦します。この成功をつかむためには何を捨てるのだろう、と考えています。
若者の皆さん、今は大変革の時代です。不安に思うことも多いかと思いますが、この大変化をぜひ楽しめる人材になっていってください。先輩たちが経験したことのない時代を、あなたたちが創る未来にすり替えて、新しい歴史を築き上げていってほしいと思います。歴史は誰かに創られるのではなく、自分たちで創るもの。そういった気概を持って、進んでいってほしいですね。