大学卒業後はキヤノン販売に入社し、コピー機の営業をしていました。ところが順風満帆な会社員生活を送っていたある日、実家から連絡が入って・・・。父は地元の大分でホテルや結婚式場を運営していたのですが、倒産寸前まで追い込まれ、立て直しをしなければならなくなったのです。営業経験しかなかったのに経営者として呼び戻されたわけですから、それからの日々は大変でした。経理から仕入れ、仕出しの配達、マイクロバスの運転まで、ほぼ何でも屋の状態。経営を新たなスポンサーに引き継ぐまでの4年間は、ガムシャラに働いていました。その後は東京へ戻り、幹部候補生を募集していたマルマンに中途入社。家業の借金が残っていたので、高額な給与が魅力的だったのです。入社が決まったときは、「やっと会社員に戻れる」とうれしかったですね。経営という仕事は、非常にリスクが高い。しかも成功する確率なんて、本当に低いですから。けれども社長の退任と仕事を通じて物づくりのおもしろさを知ったことから、入社4年後にインテリア雑貨の企画販売を行う現在の会社を立ち上げることになったのです。

家業を引き継いだときは、マイナスからのスタートでした。でも起業したときは、ゼロからのスタート。経営者として一度どん底を経験していただけに、経営の苦労はさほど感じませんでした。それにこの仕事は、まだ世の中にない物、自分たちが欲しい物を生み出せる楽しみがある。その結果、人々に喜んでもらえるのですから、これほどやりがいのある仕事はないと思っています。
私には、将来の展望はありません。未来よりも、今が大事。先のことを考えていても、明日突然死んでしまうかもしれない。だから今、この瞬間を満足して生きることのほうが重要なのです。日々、意義のある仕事をできているか、周囲の人間を幸せにできているか、といったことを自問自答しています。これから社会に出ていく皆さんは、人生の途中で壁にぶち当たることも多いでしょう。けれども踏ん張って、一所懸命に生きてください。自分に妥協しない満足感のある日々の積み重ねが、人生を必ずいい方向へと導いてくれるはずですからね。