正解を探すのではなく、自分の進んだ道を正解にしてゆく。私がこう考えるようになったのは、大学生になった頃のことです。とりわけ強いこだわりがなかったことも、私の人生においてはポイントになったのかもしれません。あまりに固執した目標設定は、自分の可能性を狭めてしまうこともあると感じています。
幼少期にパリで過ごしたこともあり、学生時代は絵に描いたような「サッカー少年」でした。進路を考える際にサッカーを抜きに考えた末に出た答えが、「環境」だったのです。90年代は、「環境」という言葉にスポットがあたり始めた時期だったので、時勢の影響もあったのかもしれません。選んだゼミが環境問題に関するトピックを扱っており、大学院で出会った教授が起業のきっかけを与えてくれました。

実際に起業する時は、「面白そうだ」と直感で思いましたね。リスクや不安を感じるというより、一度やってみようという気持ちが大きかったです。大学を卒業した同級生はすでに就職をしていましたし、研究職と起業とは真逆の方向でしたから、周囲の人々は驚いていたと思います。確固たる自信はありませんでしたが、逃げることは決してしたくありませんでした。会社を設立してから8年が経ちますが、やっと種まきが終わったところだと思っています。これからは収穫するフェーズ。新しい事業を生み出せるフットワークの軽い会社として、地位を築いていければと思っています。
早稲田の地に根を張り、長く学生を見つめてきましたが、時代の変遷とともに、確実に学生の性質も変化していると感じています。選択肢が多くある今だからこそ、主体性を持たなければならないと思います。私が言いたいのは、夢や目標を持つことが至上なのではないということ。こじつけでも良いので、できることから始めてみれば良いのではないでしょうか。「本当は○○がしたい」とずっと嘆き続けるのではなく、覚悟を決めて今の環境の中で精一杯のパフォーマンスを見せつけることが必要です。変わりゆく社会の中で、あなたは自分の人生の傍観者になりたいでしょうか。これからは「個」の力が試される時代です。一歩踏み出す勇気を、ぜひ持ってください。