現在、外資系企業の社長を務めて4社目になりますが、これまでいろいろな国を見てきました。アメリカ、イギリス、フィリピン、中国、マレーシア・・・。幼少期の私がこのようになることを想像できたでしょうか。答えはノー。のどかな環境で生まれ育ったので、「世界」はあまりにもかけ離れた存在でした。高校からは東京に通うようになりましたが、それでもやはり「世界」を意識することはなかったと思います。第一、英語が大嫌いでしたからね。夢は歴史学者になることでした。しかし、両親に反対され、理系の道へ進むことになりました。
大学~大学院在学中、そして企業に就職してからも、研究が私のライフワークでした。ただし、教科書に載っているようには、実際の研究は進まないのが事実。研究によって新しい発見が生まれるというのは、まさに偶然が生む奇跡なのです。地道にデータをとったり、実験を重ねたり、失敗をしたり・・・。あらゆることを積み重ねた時に、思いもよらない成果を上げることができることがあります。努力は必ず結果を出す。そう考えるようになった、大切な経験でした。

旭化成に所属していた頃には、10年がかりの技術開発プロジェクトに携わったこともありました。この時に苦楽を共にした仲間とは、今でも当時の出来事を昨日のことのように語り合います。大学時代に「努力すること」を学んでいたからこそ、10年を乗り越えることができましたし、その技術が今でも誰かの役に立っていることは嬉しくて仕方ありません。
ですから、今の若い人に言いたいのは、努力をすることを惜しまないでほしいということです。実体験として味わってみないと分からないことですが、努力が報われるということを知れれば、一回り大きく・強くなれると思います。どんな小さな仕事でも、回り回って誰かの役に立っていることを忘れないでください。仕事の大小に限らず、社会に貢献するチャンスを誰しも持っているものなのです。自分の仕事を「ここで終わり」と言うわけでなく、巡って人の笑顔を生み出す風景を想像すること。そして、そのための努力をし続けること。それこそが、私たちにできる唯一確かなことなのです。