１９９８年、アメリカに留学していた私は地元の香川県高松市に戻り、アメリカのストリートファッションを主に扱うセレクトショップを始めました。その後、Tシャツなどのオリジナル商品を制作するサービスを開始したのが２００３年。当時、普及し始めていたインターネットを使うことで、多くのお客様にご利用いただけるようになりました。そして、会社が業界シェアトップクラスを獲得するまでに成長した今、私が第一に考えているのは組織力の強化です。

先日、社員たちと一緒に現在の課題を出し合ったとき、「近頃、社長とコミュニケーションがとれていない」という意見がありました。確かに、最近は本社にいる時と、出張に出ている時が半々くらい。そこで、月に１回ビデオメッセージを配信することにしました。しかし私自身、本来はそんなことをするタイプではなかったのです。

もともと起業したのは、学生でありながら事業をするのが「かっこいい」と思ったから。そもそも、アメリカに渡ったのも、アメリカの大学に編入するのが「かっこいい」と感じたからでした。学生時代の私にとっての「かっこいい」の基準は「人がやらないことをする」ということだったのだと思います。

その価値観は、経験を重ねるにつれて変化していきました。今の私が「かっこいい」と感じるのは、「従業員とお客様のためのベストを追求する」という姿勢です。当社のサービスは、インターネットだけで完結させることもできますが、関東を中心に実店舗を増やしているのは、お客様のことを第一に考えているから。経費や労力がかかっても、お客様の利便性や安心感を大切にしたい。そして、お客様と自分たちのハッピーを追求するために、日々社員と思いを共有しながら一緒に成長し、組織力を高めていきたいと思います。

物事を決断する際に迷ったときは、GOのサインです。迷うということは可能性があるということ。可能性がゼロだったら、迷うことはないはずです。石橋を叩いて、周到な準備をしても崩れなかったら、勇気を出してやってみる事。あとは全速力で駆け抜ければいい。崩れそうになっても、突風が吹いても、全速力で駆け抜ける事で逆に力強く、最短で安全にゴールにたどり着ける可能性が高まります。

これから若い方々が人生の岐路に立った時、自分の「かっこいい」という感覚を大切に、たとえ失敗したとしてもやらなくて後悔することのないように、人生を歩んでいってほしいと思います。