現代では、航空飛行機はすっかりと私たちの社会や生活に浸透しています。しかし100年以上前には、「空飛ぶ機械を造る」などと言えば、正気を疑われました。それでも飛行機が誕生したのは、自分の信念を現実化させるという、技術者たちの情熱と試行錯誤の結果です。
私が当社を興した時の状況も、そんな様子でした。日本の航空チケットは、高くて料金が一律なのが当たり前。当時、私はドイツに留学し、世界50ヶ国をめぐる旅行をしていたからこそ、航空業界の常識は逆手に取ればビジネスになると確信したのです。帰国後、私は数人の仲間とチケットの価格が他社の半額で購入できる会社を設立しました。ですが開業当初は、商品が安いのにお客様が来てくれない。開業資金も日ごとに減っていくという日々が続きました。何度ももう止めようと思いましたが、「石の上にも三年」、「継続は力なり」という言葉を胸に、踏みとどまったのです。おかげで半年を過ぎた頃から、お客様の口コミにより、次々に新しいお客様が利用してくださるようになりました。またそれからは、年を追うごとに収益は相乗的に増えていきました。

私たちがハウステンボスを再建しようとした時も、誰もが反対しました。なにしろ当時のハウステンボスは、18年間に渡り赤字が続いていたのですから。しかし私は、徹底的に他社との差別化を図ることによって、ハウステンボスの事業を好転させました。例えば100万本の薔薇を楽しめるガーデンを新たに設置したり、通年でチューリップを植えたり、お客様を飽きさせない試みをする、といったように。こうしたアイデアが功を奏し、女性や年配のお客様からの支持をいただいたため、事業は波に乗りました。
私が若い方々に申し上げたいのは、どんな偉大な発明品であろうと、もとを辿れば個人の独りよがりな思いつきでしかなかった、ということです。それが世界的な発明として実用化されたのは、発明者たちが自分のイメージを具体化し、努力を継続したからです。社会が混乱している現在のような時期は、逆にチャンスです。個人独自のアイデアを、世間が受け入れる余地があるからです。
自分だけの夢を胸に抱き、試行錯誤を繰り返しながらどんな失敗にもめげず、それを現実化させてほしいと思います。