最近の若い方々は、英語にIT、情報の収集能力など、個々の能力がとても高いと思います。ですが、逆にその優秀さが若者の特権である「若さ」を活かす妨げにはなっていないでしょうか?
世間にあふれる情報に一喜一憂し、何かを始める前に、勝手に結果を読んでしまい、諦めてしまう。「若さ」の特権とは、新しいことに挑戦すること。そして、もし失敗しても、許されるところにあります。ならばどんなことにも、先を読まずに体当たりしていかねば損です。その点では、いわゆる「焼け跡世代」の私のほうが、まだ若いのではないかと思っています。
私は戦中に生まれ、大人の言うことが戦後になると180度変わってしまう、そんな時代の変貌を見つめてきました。こうした経験が、「真実を判断するのは、自分のみ」という、私の信念における原点になっています。また、掘っ建て小屋で父の商売を手伝ったことも、「どんなことをしても生きていく」という、私の生命力となりました。

私は51歳の時に、兄が社長を務める当社に入社しましたが、当時の役割は行き詰まりを見せていた商品開発から販売まで、すべてを改革すること。社内ではバブルの雰囲気に酔いしれた人ばかりで、冷静に状況を把握できる人が少なかったのです。
問題児だが、「自分を貫く」生き方をしていた私が、人の役に立つ時がきました。私が社長に就任した時には、人事、企画、開発、すべてにおいて改革の嵐でした。私はいわば「壊し屋」で、あらゆることを自分の責任で変えていきました。その意味で私は独裁者でしたが、”消臭力“、”脱臭炭“などの商品を開発し、会社を立て直したというのも事実です。
私は様々な人の意見に耳を傾けますが、最終的な決断を下すのはあくまでも自分自身。その際には、どんな反対も押し切ります。そのくらいの覚悟がなければ、ビジネスという戦場では生き残れないのです。
若い方々には、自分を信じ、「運と勘と度胸」を身につけてほしいと思います。仕事において必要なことはこの3点だけですが、これは自分の信念のために努力を貫いた人だけが持てるものです。もし、あなたがまだ何も成し遂げたことがないのであれば、まずは自分を信じ、最初の一歩を踏み出してください。すべては、そこから始まります。