日本は資源の少ない国だということは、広く知られています。そんな国で資源を生み出すことができたら、世界をあっと驚かせることができるはず。私たちは今、ミドリムシ(学名:ユーグレナ)から作った燃料で航空機を飛ばすというプロジェクトを進めています。
そもそも、私が事業を始めたのは、世界の食料問題を解決したいという思いからでした。漫画『ドラゴンボール』に出てくる「仙豆(センズ)」のように必要な栄養を摂ることができ、しかも保存ができて、輸送コストがかからないものはないだろうか。その答えが「ミドリムシ」だったのです。
藻の一種でありながら、動物のように細胞を変形させて動くこともできるミドリムシは、植物と動物の間に位置する珍しい存在です。植物性と動物性の栄養素のいずれもつくり出すことができ、その数は59種。人間に必要な栄養素をほぼすべて含んでいると言えます。しかも、ミドリムシから抽出した油はバイオ燃料としても優れており、気候変動やエネルギー問題の解決にも一役買うことができるのです。ただ問題なのは、屋外で大量培養することが難しいということでした。
私たちは試行錯誤の末、ミドリムシの屋外大量培養に2005年12月に成功し、これで取引先が次々と現れるに違いないと胸を踊らせました。ところが、当社の事業はなかなか世の中に受け入れてもらえませんでした。
そんなときに心がけていたのは、学生時代に先輩から学んだ「お互いさま、おかげさま」という考え方でした。そして、目の前の仕事に注力するということ。今、この瞬間に集中して、人の力になろうとすることです。
私はかつて「自分はリーダータイプではない」と思っていました。もしかすると、あなたも今、同じように感じているかもしれません。それでも、いずれ会社でリーダーを任されるかもしれないし、本当に打ち込めるものが見つかって、起業する日が来るかもしれない。
もし、自分にとって「これだ!」と思えることがまだ見つかっていないのなら、まずは身近なリーダーを全力でサポートすることから始めてみてください。どれだけ行動に移したかという「数」が迫力を生みます。
そんなあなたの姿を、周りの人たちは見ています。あなたがリーダーになる番が回って来た時、きっと喜んで力を貸してくれることでしょう。