人は自分に自信を持つために、とにかく”強気“である必要があります。そして同時に、成長していくためには、他人から学ぶ”謙虚さ“も要求されます。それはとても難しいことですが、私は若者に、この二つを併せ持ってほしいと思っています。私は以前まで、若者はいつも”強気“であるべきだと思っていました。ところがある時から、「教育の重要性」に気づき、会社とは様々な個性を持つ者たちが楽しみながら仕事ができる場であればいい、と考えるようになったのです。
長野県で生まれ育った私の実家は、ガソリンスタンドを営んでいました。家業は弟が継ぐと思っていたので、私は東京の大学を卒業後、ある銀行に就職しました。ところが突如、父が健康診断での診断結果が悪かったため、結局は私が会社を任されることになったのです。その時当社は、軽自動車の販売、整備を行う会社になっていました。私には肩書が与えられ、とにかく無我夢中に仕事に没頭しながら、スタッフたちのやる気を絶やさないよう努力しました。すると業績が伸び、スタッフみんながどんどんと元気になっていくのがわかりました。私が「事業も人も、自分が育てるもの」と気づいたのは、この時です。また同時に、私は自動車のことはよくわからなかったため、部下である整備スタッフに質問をぶつけることも多々ありました。その際に、謙虚さと現場での人間関係がどれほど重要か、理解したのです。
その後、会社を大きくさせる過程でスタッフたちとも議論を重ねました。これが結果として自分の立ち位置を確立させ、現場スタッフとの共通理解に至ったのです。
2013年に私は社長に就任し、事業も本格的に”家業“から”企業“へと移行しました。そこで私が着手したことは、「スタッフの自主性を育てること」。それまではトップダウンの指示待ち体制だったものを、個々の社員がみんなで考えていく方針に変えたのです。これにより社員のモチベーションは、「自分たちで目標を設定し、それを達成させる」という方向へ向いたのです。この経験から私は、人には皆”長所“が存在し、これを伸ばすことで、誰もが活躍できる環境をつくる大切さを学びました。
だからこそ、これからの日本を背負っていく若者には、「今の自分」を誇りに思い、人を思いやる謙虚さを兼ね備えてもらいたいと思います。