私の実家は、93年間続くマッチの製造・販売を中心とする会社を営んでおり、その会社の遊休地活用でテニスクラブを開業しておりました。そのテニスクラブの責任者が突然退職することになり、大学時代にテニスをしていた私がクラブの責任者に急遽抜擢されたのです。
当初からテニススクールをビジネスの中心に据え、我流で運営していたのですが、なかなか業績は思うように上がりません。そこで、季節や天候に左右されるアウトドアコートをインドアコートに改装することで、経営が安定し、徐々にお客様が増えていきました。また、他の有名テニススクールへ何度も足を運び、様々なことを学びながら、「テニススクールをサービス業」と捉えた経営を実現したのです。今では地方都市でありながら、1500名を超える会員様に通っていただけるテニススクールに成長させることができました。
1998年には、多くのお客様に価値を提供し、会社をより成長させるために多店舗展開へと舵を切りました。その過程で、従業員の大量離職や、やらされ感の行動など、経営者として多くの問題に直面しました。それらの問題を解決していく中で、社長一人の力だけでは経営は成り立たないことを痛感し、会社としての「経営理念」を明確にし、それを浸透させ、従業員がベクトルを合わせて一丸となれる組織にすることが重要であることに気づいたのです。

よってまず、従来から掲げていた「経営理念」を実現するための行動指針として「ノアイズム」を策定し、その後、「ノアフィロソフィ」を策定しました。このノアイズムとノアフィロソフィを従業員一人ひとりが理解し、行動することで、周りのメンバーに関心を持ち、受け入れ、そして感謝し、賞賛し合う風土が芽生え、職場の、そして会社全体のチームワークを高めています。
当社では、入社1年目の社員もどんどん仕事を任され、自由に意見や提案ができ、先輩上司もそれを否定しません。そうした会社の風土が自立や主体性を育み、従業員の間に健全な競争意識を生み、お互いに切磋琢磨することで大きな成長を遂げています。
良い風土はお客様に伝わり、お客様の感動に繋がります。若い方々も自分の力を信じ、周囲と高め合いながら、目標に向かっていってください。それが自身の成長に繋がっていくはずです。