大学を卒業する時、いつかは起業しようという思いを抱えつつ、コンサルティング会社に就職しました。そして3年で退職し、20代で一度目の起業をしました。
ちょうど世の中はWindowsの普及にともなってインターネットが盛り上がりを見せていた頃。ベンチャー企業が複数集まり、助成金を得ての起業でした。検索エンジンを作るビジネスだったのですが、助成金は何かと制約が多いうえ、企業間での調整もなかなか難しく、残念ながらうまくいきませんでした。
その反省を踏まえ、今度は助成金に頼るのではなく、思いを共有できる仲間と「自分が働きたい会社」を目指すことにしました。そうして集まってきた社員の数は今や300名を超え、2015年9月には東証一部上場も果たしました。
私が「自分が働きたい会社」を創っていくうえで大切にしていることの一つは、社員に仕事を任せる時の、任せる部分とフォローする部分のバランスです。目指すべきところを共有し、思い切って任せる。そして、適切なタイミングで質問をし、部下の力を引き出す。お互いに前提条件の共有ができていれば、行き着く先はブレない。経営者と現場の担当者とでは、それぞれ違う視点から物事を見ているので、お互いに情報を補完し合うことでより良い結果に繋がるのです。

普段からそうしたコミュニケーションを重視していますが、日頃から目標を共有していくことが大切です。VOYAGE GROUPという船の進路と、そのクルーである社員が進みたい方向を合わせていくことの大切さは、私自身が経営者として経験を積んできた中で実感してきたことの一つなのです。
テクノロジーがものすごいスピードで進化している今、重要なことは現状に満足しないこと。だから当社は、あえてビジョンを定めていません。インターネットに関わるものであれば、何でも挑戦してみる。ゼロからイチを作り出せる領域はまだまだたくさんあります。うまくやろうと足踏みするのではなく、まずは一歩踏み出してみて、あとは軌道修正していけば良いのです。
だからこそ若い方々も、”挑戦する機会の多い進路“を選ぶと良いのではないでしょうか。失敗から学ぶことはたくさんがあります。たくさんの体験を積みながら、自分の行きたい方向を目指して、進んでいってください。