私は社員が当社で働くことに誇りを持てる会社づくりを目指してきました。ビルメンテナンスという業種は、その業務の特性上、どうしても家と現場との往復になりがちです。会社と「給与」を介す形でしか繋がっていなければ、会社への愛着を持ちにくくなります。社員が会社に誇りを持てるかどうかは、給料の多さやネームバリューではない。「社員から愛される会社は、文化なくして存在しえない」というのが私の持論です。
今でこそ、新卒採用をすればたくさんの学生さんがエントリーしてくれますが、当社も新卒採用に苦戦していた時期がありました。ビルメンテナンスという業界は、正直なところ学生さんに人気のある業界ではありません。それがなぜ変わったかというと、当社が「ビルメンテナンスの会社」から「ビルメンテナンスもやっている会社」に脱皮することができたからです。
地域の体育館など、公共施設の管理を手がけるようになってから、若い社員を中心に、仕事への取り組み方が変化していきました。小学生を対象としたスポーツ教室や、高齢者を対象にした健康体操教室などを自ら企画して運営するようになっていったのです。すると、そのスポーツ教室に通っている小学生が県大会や中国大会などで活躍したり、健康体操教室に通う高齢者が2万人を超えたりしていきました。それにともなって、地域での認知のされ方は変わっていきます。社員が自分の会社に誇りを持ち、親子で当社に勤めているという家族も増えてきたことを、とても嬉しく思います。

私はリーダーの使命とは「小さなことを毎日やり続けること」だと考えています。毎日続けるということは自分の力になるだけでなく、社員の自発的なチャレンジを促すことにもなるのです。
私はどこにいても、毎朝1時間のジョギングと、「回覧板」と名づけている社員へのメッセージ配信は欠かしません。2001年から続けている回覧板は3300号を超えました。社員はそんな私の姿をちゃんと見てくれているものです。
何かを成し遂げようと思ったら、それ相応の「覚悟」が必要です。たとえ自分の好きなものを捨ててでも、自分に継続的に投資することが必要になる。皆さんにはぜひ多くの会社を見てほしい。そのうえで、ここだと思える会社を選んで、精一杯チャレンジしてほしいと思います。