当社の事業内容とは、多種多様な業種や企業間の枠を越え、アジアを主とした海外進出のための戦略を提供すること。私は若い頃から型破りな性格だったため、様々な枠を越えて活発な事業展開をすることに強い興味があったのです。しかし、そうした興味を実現していくためには、多くの知識と経験も必要です。
私は戦時中、家族で中国の大連に移り住みました。終戦後に船で帰国しましたが、毎日を生きていくために必死だった、そんな少年期の記憶が今でも甦ります。その後、大学に進学し、卒業後にソニーに就職。就職後は外国部に配属され、英語も話せないゼロの状態から語学力を身につけていきました。社長に就任してからは、アメリカの企業を買収するなど、多くの革新を推し進めました。「日本の慣習をそのまま海外事業に持ち込んでもうまくいかない」ことも、当時の経験から学んだことです。
私には誰にもない、グローバルな知識と経験があります。そして、それを若い人の創造性と組み合わせれば、すごいことができるのではないかと信じています。
一昔前は、海外と言えばまずアメリカ、次にヨーロッパでした。現在では、グローバルスタンダードはアジアへと移行しています。しかし今のアジア諸国はまだ発育途上にあり、多くの問題を抱えている一方、日本も未だ次のビジネスモデルを見つけられないままでいます。これには日本経済界の構造的な問題もありますが、優秀な起業家がいても投資をする人がいないため、事業が育たないことも問題の一つに挙げられます。だからこそ、当社を通じて本当に優れた起業家と理解のある出資者、及び日本と世界との橋渡しをしていきたいと考えているのです。
これからの時代、若い方々は、イノベーションを創造することが必要です。そして、そのための知識と経験も必要とされるでしょう。多くの日本人はイノベーションが技術の分野にのみ当てはまると誤解していますが、イノベーションとは、マーケティング、プロダクト、ブランディング、あらゆる分野に存在するものです。つまり、挑戦できるステージは無数にあるということ。
そのためにも何かに固執して頼るのではなく、個人でも生き抜ける力を身につけてください。「ゴール(着地点)」という情けない根性は捨て、志高く世界で勝負してください。