こども達が職業体験のできる「キッザニア」という施設がメキシコにあるという話を聞いたのは、私が当時勤めていた会社を定年退職したすぐ後でした。最初は興味本位もあり、「ちょっと見に行ってみようか」という気軽な気持ちでメキシコまで足を運んだのです。
このように、海外に行くことへのハードルが下がった最初のきっかけは、学生時代の体験でした。大学3年生の時に水球の世界大会に出場するため、アメリカとブラジルへ2週間ずつ滞在した経験があります。世界中から学生が集まり、英語が母国語の学生もいれば、そうでない学生もいました。この時、様々な国の学生と交流をしたことで、外国人とコミュニケーションをとることに対する不安は消えていきました。
その後、会社員時代には「トニーローマ」や「ハードロックカフェ」などを日本に持ち込んでフランチャイズ化する事業や、「カプリチョーザ」を国内・海外に展開する事業を手がけるなど、常にグローバルな視点で仕事を進めてきました。その経験の先にあったのがキッザニアとの出合いだったのです。

現在、日本では豊洲(東京都)と甲子園(兵庫県)で展開しており、こども達が90種類以上の職業や社会体験を楽しんでいます。そこにあるのは、エデュケーション(教育)とエンターテインメント(娯楽)を融合させた「エデュテインメント」です。
今、教育をめぐる環境は大きく変化しています。それを受け、人材のグローバル化はさらに進んでいくことでしょう。つまり今後、日本人に求められることは、「社交性」なのではないでしょうか。
私自身、シャイな性格なのですが、社交性を養うために普段実践していることがあります。それは、エレベーターに乗った時に挨拶をするということ。些細なことかもしれませんが、この習慣がパーティなどで気後れせずに交流できることに繋がります。日本語で挨拶ができない人は、どれだけ英語を勉強しても意味がないというのが私の持論です。
キッザニアに来るこども達は、様々な職種に挑戦することで自分に合った職業を見つけていきます。若い方々もチャレンジを重ねることで、自分に向いている職業が見つかるはずです。グローバルに活躍できるよう、教養を身につけ、社交性を鍛えつつ、地球規模で物事を考える力を養っていってください。