私の社会人デビューは不意に、思わぬ形でやってきました。幼い頃からプロ野球選手を夢見て、球児なら誰もが憧れる甲子園の舞台にも立ちましたが、突然父親が病に伏せ、私は19歳にして社長に就任することになったのです。当然ながら、当時の私には職業を選択する余地はありません。ましてや、仕事とは何か? などと考える暇もありませんでした。それでも、今こうして「大島産業グループ」のCEOとして成功を収めることができたのは、すばらしい仲間との出会いと、一生懸命に、無我夢中に、仕事に人生をかけてきたからだと自負しています。
もちろん私も人間ですから、これまでにはたくさんの失敗も経験してきました。でも、失敗というのは”今後失敗しないための薬“だと考えたらいい。若いうちの失敗は膝を擦りむくようなものです。ですから失敗を恐れず、いろんなことにチャレンジして経験値を上げ、しっかりと地に足をつけて働いてほしいと思います。
”働く“という漢字は、書いて字のごとく、”人が動く“と書く。しかし、働きすぎて忙しくなると、”心を亡くす“と書きますね。人間にはロボットと違って心がありますから、この心だけはどんなに忙しくなっても健全に保っておかなければならないと常日頃から思っています。つまり社会に出ても、”良心“を持つということが大事なのです。もっとわかりやすく言えば、どのような仕事についても嘘をつかずに素直な心を持ち、いつも真っ直ぐに生きることが大切なのだと思います。例えば人をだましたり、姑息なことをやって成り上がっても、人生の帳尻は必ずどこかでやってくると思うからです。
現代はインターネットなどもあり、昔に比べたら情報過多な時代です。まだ人生経験の浅い学生さんなどは本質的なことを見抜けないまま、なんの体験もせずしてすぐに結論を出してしまいがちなのではないでしょうか? まずは汗水流して真面目に真っ直ぐに働き、普通に生活をしてみることが何よりも大切なことです。
私もこの歳になってしみじみ感じることですが、良いことも悪いことも、御天道さんはみんな見ているんです。だからこそ、御天道さんに恥じない生き方、自分自身に恥じない生き方を貫いてください。自ずと人生も開いてくるはずです。