まだ世の中にないモノを作りたい。技術者としての気持ちが、今日まで私を動かしてきました。自動車から蓄電池、そして地熱バイナリー発電へ。興味の対象は変化してきましたが、その根底にあったのは「新しいモノを作りたい」「社会に役立つ技術を確立させたい」という想いです。
私は、物心ついた頃からモノつくりが大好きで、自分で何でも作ってしまうような子どもでした。例えば、ラジコンが作れたから今度はラジオを作ってみよう。ラジオが完成したらアンプも作れるのではないか、という風に、どんどんと好奇心が広がっていったのです。
そのため、大学も理工系の学部を選択。当時、何よりも夢中になっていたのが自動車です。中古車を購入して、エンジン性能を最大限に引き上げるため、何度も改造を繰り返したりしていました。ただ学費と生活費を自分で稼いでいたので、アルバイトをやりながらです。喫茶店のウェイターや居酒屋の皿洗い、スーパーマーケットの掃除、家庭教師など、たくさんの仕事をしました。確かに大変なこともありましたが、当時の経験が、経営者としての私のベースになっているのかもしれません。お金に対する確固たる考え方が持てたのはもちろん、技術があればビジネスができるという確信を得ることができましたから。

大学卒業後は、大手自動車メーカーに就職します。しかし会社再編の影響で、造船会社へ転職。そこで蓄電技術と出会い、やがて起業に至ります。その翌年、東日本大震災が起こり、「自分も何かできないだろうか」と考えた末、太陽光発電機を無償で提供しました。その時にできた縁が広がり、現在では、長野県に一大地熱バイナリーを作り上げる事業に取り組んでいます。自分の頭で考えて、工夫をして、努力する。それを繰り返すことで、確実に前進をしてきたのです。これからも社会に必要とされる技術の確立を目指して取り組んでいきたいと考えています。
若い方々には、ぜひ自分で考える力を養ってもらいたいですね。現在は、どこにでもチャンスが転がっていると言っても過言ではありません。一例を挙げれば、石にもビジネスチャンスが隠されています。もしストーリーを付けることができれば、パワーストーンという商品になりますから。ただの石とみるか、新たな可能性を探り出すか。未来を切り拓くのは、いつも自分自身の力なのです。