私は幼少期からスポーツが 大好きでした。試合に向けて練習に打ち込むことで自然と感性が磨かれ、それまでの努力を実戦で発揮する力など、たくさんのことが培われたと感じています。
大学卒業後は、商社勤務を経てセイコーに入社し、英国で現地法人を任されたりと、様々な立場で実務を経験。広くたくさんの人と関わることで、人の気持ちを汲み取って仕事をする大切さを学びました。
2003年にセイコーウオッチ社長に就任、2010年にセイコーホールディングスの代表取締役社長、2012年には会長兼グループCEOとなり、多岐にわたる事業をみてきました。企業のトップとして心がけているのは、社員一人ひとりの良さを伸ばしながらも、セイコーとしての共通の想いを全社員で共有していくこと。それが、スローガンである「時代とハートを動かすセイコー」という想いに繋がっています。
1881年に輸入時計の販売・ 修理から始まった当社は、まもなく製造を手掛け、現在に至るまでに長い歴史をつくってきました。原点は、時代の一歩先を行くという創業以来の精神です。技術力や新しい発想で常に時代を牽引し、夢を創造してハートを動かす。同時に、時計の本質に立ち返り、時計の魅力を伝えていくことが当社の役目だと思っています。腕時計は大切な人の時を刻むもの。つまりその人の分身であり、自己を表現するものです。その一秒一秒には、たくさんの感動の瞬間があります。だからこそ、いつもワクワクドキドキできる遊び心を忘れずに、お客様と感動を分かち合える企業でありたいと考えています。

当社に多いのは、ただ指示を待つのではなく、全体を見て、自分が何をすべきかを判断する人材です。部署や担当業務の垣根を越えて、皆で一つのものを作ろうと考えているのです。もちろん仕事は楽しいことばかりではありません。しかし目標があればポジティブな仕事ができるはず。これから社会に出ていくみなさんも、目標を持ち、何か一つのことに打ち込んでみてほしい。そうすることで魅力的な人間に形成されていくと思います。仕事を続けていれば、誰かに助けられ、感謝の気持ちが生まれ、今度は自分が誰かを助けたいと思う瞬間が来るでしょう。その時こそ、チームの中で個の力を発揮することができる、成長した新たな自分に出会えるはずです。