人間の人生航路は、自分が生きていく過程でどう変わるかわかりません。だからこそ人は、自分の人生は自分で決め、その責任を自分で負うべきだと私は考えます。
もともと私は、パイロットでした。高校1年生の時、思い立って母親に「海外に行かせてくれ」と頼んだのがきっかけです。それ以降、コンスタントに外国に行きたいと考え、同時に大の飛行機好きになっていったのです。その後、航空大学校を卒業し、当社に就職。若い頃からの夢を叶え、パイロットになりました。
パイロットの任務とは、500名ものお客様の生命を預かる、責任重大なもの。その職務を通じて私は、「決断すること」の重要性を学びました。
当時の私は、パイロットのままで定年退職するつもりでしたが、2010年に会社が経営破綻。しかし私には数万人もの信頼で結ばれた同志といえる仲間がいます。彼らを放っておくことなどできるはずもありません。私は事業再生のため、経営陣に加わることとなりました。
経営の指導は、稲盛和夫氏より指南を受けることとなりました。稲盛さんの教えは人間の道徳観を重んじる方針で、それを突きつめれば全社員の物心両面における幸福を追求するというもの。そのため、数字とはあくまで手段にすぎないと教えられました。
私は早速それを現場で試し、3万人もの社員の心を掴み、組織を変えていったのです。
これにより稲盛さんによる方法論の正しさを実感した私は、以後、組織にとっての扇の要として、社員の支柱となることが自分の役割と心得、全力を尽くしました。その結果、会社の業績は上がり、2012年には再上場を果たしたのです。
私がみなさんに申し上げたいのは、自分の人生は自分で決めるものだということ。そして、それに伴う責任を果たすべきだということです。
何かに挑戦している最中には、何度も失敗することもあるでしょう。しかしそうして負った傷は、必ずあなたの決断の積み重ねをやがて自信に変えてくれるはずです。
だからこそ、若い時にこそ失敗し、傷だらけになってください。それは将来、あなたにとって何ものにも替えられない宝物となるはずです。