人は何もしないかぎり、失敗はありません。そして同時に、新しいモノも生まれなければ、社会の発展もありません。したがって私は、物事に挑戦しない事こそ、もっとも良くない事なのではないかと考えています。これは私が当社を興してから現在までの、自分の生き方によって確信を得た信念です。
私は学生時代にアルバイトをしながら世界中を巡りました。そして世界の在り方と異なり、日本だけが航空券の料金が一律であることにも違和感を抱きました。それと同時に、「これはビジネスになる」というイメージを描くようになったのです。そうして私は、1980年に数人の友人たちと格安航空券を発売する会社を始めました。最初の数ヶ月はほとんどお客様も来てくれず、何度も止めようかと思いましたが、「石の上にも三年」「継続は力なり」の信念で踏み止まりました。すると当社の評判は口コミで広がり、1年後からは毎年倍増のペースで売り上げを伸ばしていったのです。
以後私は、他人から無謀と呼ばれる事業にほど情熱を燃やし、成功させてきました。その一例として、1996年に国内4番目となる航空会社、スカイマークエアラインズを就航させたことがあります。当時の日本には航空会社のための整備会社さえ存在しなかったのに、私は人材や物資を独力で確保しました。加えて2010年から、それまで赤字経営が続いていたテーマパーク・ハウステンボスの経営を軌道に乗せたことが挙げられます。この時は当園が持っている観光資源をフル活用し、そこに独自のアイデアを加え瞬く間に黒字転換させたのです。
私にそうしたことができたのは、常に成功のイメージを持っていたからだと信じています。明確な夢や目標を心の中に抱き続けていれば、途中で挫けそうになっても必ず成功への道筋を探し出すことができます。さらにそう考えれば、失敗もまた一つの成功だと捉えられるでしょう。なぜなら失敗は、自分が次に成すべきことを教えてくれるから。
現代は先の見えない大変な時代ですが、これもまた変化が激しいからこそ、新たなアイデアを社会のなかで現実化させる大チャンスとも取れます。ですから若い人たちには、日本のためアジアのため世界のため、自分だけの成功イメージと共にチャレンジを続けてほしいと思います。その先にはきっと、成功があるでしょう。