私は、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」という漫画を幼少期からずっと愛読していますが、漫画の中では、スルメを餌にザリガニを釣りながら「本当に釣れるのかな?」と試すシーンがあります。つまり状況の変化に伴い、より反応する餌を模索しながら、思考錯誤を繰り返しているということ。私は幼いながらも、何事もやってみないとわからないのだと思ったものです。そして主人公の両津勘吉は、絶対に諦めることをしません。それは時代を切り拓いてきたすべての人に共通するもので、私はこの漫画を、ベンチャーの教科書だと思っています。
私はミドリムシの培養に成功してから2年の間で、約500社を営業して回りました。当初はなかなかうまくいきませんでしたが、501社目でやっと認めていただき、瞬く間にミドリムシが大ブレイク。その話をする度、周囲からは「大変だったね」と言われるのですが、実は私は一度も大変だと思ったことはありません。それは、好きなことをしているから。例えばノーベル賞を受賞している有名な研究者の方だって、ただ才能があっただけではありません。誰もが何百回、何千回と失敗し、それでもまたチェレンジし続けてきたからこそ、ノーベル賞までたどり着いています。世界中の人間は、9遺伝子中の99・9%が同じ。その人でなければできないということはないのですから、言い換えれば、成功するかどうかは続けるか続けないかの差だと思っています。当社の社員には「100回チャレンジしてダメでした」ではなく、「100回チャレンジしてダメだったので、101回目にチャレンジしてみます」と言える人材に育ってほしい。それは学生の皆さんも同様で、自分のために使える時間がたくさんある若いうちにどんどんチェレンジして、諦めない精神を鍛えてほしいと思っています。私は、旧ソ連のロケット研究者であるコンスタンチン・ツィオルコフスキーの「今日の不可能は明日可能になる」という言葉に感銘し、さらに努力をしようという想いを込め、「昨日の不可能を今日可能にする」という座右の銘を掲げています。

そして今後は、2020年までにミドリムシをジェット燃料にして飛行機を飛ばすことを目標に、日本では生産できない石油の代わりとなるものを国産として生み出し、日本中の皆さんが笑顔になってくれるようなビジネスをしていきたいと思っています。