海外の若者は基本的に、自分の頭の中で仕事を創造しようとするのに対し、日本の若者は上からの指示待ち状態の人が多い気がしています。独創的なプロダクトが必要とされ、それを創出する人材が求められている現代において、これは大きな問題です。
若いうちは必死に働きながら、自分の理想を描き、問題解決に取り組んでいれば、その経験は30代40代になってから大いに活きます。逆に人生の1/3を占める仕事を生活の手段と割り切ってこなすだけでは、それは苦痛でしかないでしょう。それならば若い時に自分の能力や価値を最大化し、自分の人生を自分で選択できるようになれば、その人の人生は有意義なものとなるのです。
私は若い頃からずっと、すべてにおいて自分の意志判断が通用するような仕事をしたいと思っていました。そのために人が嫌がるような仕事を自ら引き受け、結果が失敗に終わろうと成功しようと、自分自身で考えて難題に取り組むことが自分の成長に繋がると信じていたのです。ですから、まったく苦にはなりませんでした。

私は1996年に当社を起こしたのですが、その時から優秀な人材が成長し続けられる環境を提供することは、社会的に意義があることだと考えていました。
また当時の日本は、技術大国でありながらも、大企業向けのソフトウエアを輸入しなければならない状況にあり、憤りを感じていました。そこで、「誰もやらないなら私が創る」と決意したのです。
世界に向けてイノベーションを起こし続け、2014年には、世界初の人工知能型ビジネスアプリケーション「H U E」を発表。その折に「まさか日本からこんな製品が生まれるとは思わなかった」との評を多く得て、大きな喜びとやりがいを得たものです。
自分がやりたい仕事を選べる環境を手に入れるには、強い「個」の力が不可欠です。持ちうる能力をすべて使いきる覚悟で挑んでください。生ぬるく停滞していては、世界に通用しない三流選手にしかなりえません。また、トレーニング時代には、目の前の結果だけを求めてはいけません。自分の価値が認められるようになれば、地位や経済力も勝手についてくるのですから。
与えられた仕事であっても「もっと良いやり方があるのではないか」と自問自答し、試行錯誤をくり返してください。そうすれば必ず、あなたの能力は向上します。