私は幼い頃から野球に没頭し、甲子園の舞台にも立ちました。そして19歳の頃、病に伏せた父の跡を引き継ぎ、社長に就任しました。
しかしこれまでの自分の人生を振り返ってみても、理想や夢物語を抱いたことは一度もありません。ただ目の前にある日々と向き合い、日々を繰り返してきただけだからです。それだけに、100名以上の社員を背負う現在の自分を、当時は想像もしていませんでした。夢を語っているだけでは甲子園には行けなかったでしょうし、会社は潰れていたことでしょう。たとえ夢を持たずとも、たくさんの失敗を経験しながら、常に前を向いて歩めばいいのだと思っています。
私は幼い頃から現在まで、常に競争の中を生きてきました。創業者である私の父からも、「人に負けるなよ」という教育を徹底されてきました。
現代の学校教育では、子どもに順位を付けることを善しとしません。校内マラソンで一位を獲っても、その結果を公表しないことが一般的。学力テストで100点をとっても、忘れ物が多ければ通信簿は赤点になる。そうした評価体制のもとで教育を受けて、社会に出てから突如、競争しなさいと言われてもできるはずがありません。

人生は競争です。その中で失敗や挫折をしないとわからないことが沢山あります。失敗をしたから良いとは言いませんが、少なからず世の中には、多くの苦労や困難を経験している人がいる。そうした痛みや怖さをわかる人間にならないといけません。失敗を教訓にして、学ばなくてはいけないのです。
その中で大切なことは、自分より強いものと闘おうとすること。なるべく険しい道を選ぶこと。弱い者いじめではなく、自分より強い者と闘うことで、人は強くなるからです。
時計の針は戻りません。その場で立ち止まる人も、前へ進もうとする人も、平等に時は流れていきます。つまり失敗を次に繋げようとするか否かは、自分次第ということです。
物事をどう捉えるかで、その人の人生は大きく変わります。そして自分の人生は、自分でつくるもの。誰の人生でもありません。後悔するのも立ち止まるのもその人の自由。たとえ思わぬ事態が起こっても仕方がないと捉え、前を向くことも自由なのです。