入社のきっかけは、大学の先輩に「就職するならうちに来ないか」と誘われたひと言でした。
私は高校時代、「A(物質)とB(物質)を合わせると、新しい物質Cが生まれる」という化学の面白さに目覚め、化学をきっかけに他の勉強もするようになるほどでした。大学でも実生活に直結した応用化学を専攻していたので、迷わず当社に就職を決めました。しかし、当時の当社は町工場といった感じで、研究者もその先輩と私の二人きり。業績も良いとは言えない状況でした。ただ、私は会社の規模ではなく、「自分のやってきたことが生かせる会社なら」という思いが強かったので、むしろ未知の可能性を感じていました。
その後、当社が現在に至る道のりは決して平坦なものではありませんでした。クライアントを大手一社に頼っていた時期は、その一社からの発注が減ると必然的に仕事も減り、毎日掃除ばかりしていたという記憶もあります。そんな時期に、打開すべく新しい仕事が入ると、逃してはならないという強い思いと若さ故の「何とかなるさ」という開き直りから、徹夜で製品開発に取り組みました。この時若手社員ながら、商品開発や製造はもちろん、企業としての安定が何より大切だと思い知らされました。社員が安心して働ける会社であってこそ、一つの商品に関わる部門全体の業務品質を上げることにつながるからです。

私は開発部門出身の社長ならではの「この会社のモノづくりのDNAを後世に伝えなくては」という使命感を持っています。世界トップレベルの日本の化粧品の中でも、さらに当社はモノづくりのナンバーワンになりたい。化粧品のOEM企業として、かつての「下請け=受け身」ではなく、クライアントの意向を受けつつより良い商品に昇華させるパートナーでありたいと思っています。
最近は海外からのオファーも多く、会社として大きく成長する機会が増えました。私もまだまだ成長過程です。私はこれまで開発者としての経験と同時に、社内で様々な仕事をし、人と出会い、広い視野を持つという経験もできました。これから社会に出るみなさんには、まずは飛び込んでみてほしいと思います。そして常に前向きに努力を惜しまないでほしいです。なぜなら、「仕事」とは自分を磨いていく場であり、「働く」ということは人格を磨くことだからです。