私はかつて自動車販売会社に所属し、トップセールスとして活躍していました。しかしセールスをする立場からセールスの心得を教えるトレーナーへと転身したきっかけは、研修プログラムに参加したことです。
それまでの私は、「自動車を一台でも売りたい、販売成績を上げたい」とすべて自分を軸において仕事をしていました。ただそれは、どこか無理が生じていました。お客様の前で別の自分を演じながらセールスをしていたのです。しかし研修プログラムを受講したことで、「自分軸」から「お客様軸」へと仕事の進め方を転換しました。そのことによって心底仕事を楽しんで行えるようになりましたし、やりがいも感じられるよう変化していったのです。
また、「注文を取った時点で自分の仕事は終了で、残りの仕事は消化試合のようなもの」というそれまでの考え方も180度転換。納車を終えるまで、ワクワクドキドキ感を感じられるようになりました。研修プログラムに参加することが、仕事や人に対する姿勢を変えていくのに大きく役立ったわけです。そして、お客様相手だけでなく、「価値観や職業観が変化していく場面に自らが立ち会いたい」という思いから、トレーナーへと転身を果たしました。

私が常々思っていることは、目標を設定してそれを達成した経験は、社会に出ても必ず役に立つということ。その経験を持っている人は、仕事をしていても「自身がどこに向かっていて、なにを達成しようとしているか」に対して、すごくストイックに考えていると感じます。この目標というのは、なにも特別なことである必要はありません。受験勉強でも部活でも、なにか一つでも打ち込んだことがあれば、それが目標の設定に繋がっていくです。
私がセールスをしていた時代、もの凄く頑張っている社員と、適当に仕事をしている社員とでの間では給与面で大きな差はありませんでした。しかし己の成長のためにと頑張ってきたからこそ、今の私があると思っています。今はそんな時代とは大きく変わり、それなりの代償を払わず、漫然と仕事をしていては良い人生を送れません。若い方々は、このような使命感を感じながらアグレッシブに仕事へ向き合っている人もいるでしょう。目標の設定とその目標の達成というサイクルを繰り返すことで、自身が望む結果を手に入れていってほしいと思います。