私は団塊ジュニア世代で、受験教育が熾烈化するなか中・高と私立に進みながらも、いち早く「大学には行かない」という選択をしました。高校を出てアルバイトをしながらも、そのときから「絶対ビッグになる」と強く決めていました。そんな折、阪神大震災を経験したんです。生死を分けた未曽有の事態に遭って「もし今日死んでいたら、後悔しか残らなかったな」と思い、私はすぐに海外に行くことを決めました。そのとき胸に刻み込んだのは、「生きているからには、やらずの後悔だけはしない」ということです。
成長していくことが分かっていた中国に渡り、大学に通いながら邦人企業の通訳兼コンサルタントとして社会経験を積みました。その後、中国国内をバックパックしたあと、アメリカに渡ってLAの大学に通いながら商売をしたり、北米・南米に旅に出たり。仕事も学業も遊びも、とにかく「自分探し」をとことん続けた10年でした。
29歳でようやく帰国することになったのは、L A時代の友人に映像会社の立ち上げに誘われたからでした。それが私のエンターテインメント業界のスタート地点です。その後、現在のgumiを設立しました。折りしもその年は、初代iPhoneが誕生し、Twitterが始まった年でした。この頃までにアメリカはモバイルインターネットの普及がありませんでした。しかし日本にはガラケーがあったので、Twitterの携帯版を先にやれば勝てると思いました。そこから携帯版Face-book、携帯版ソーシャルアプリ、携帯版ソーシャルゲームと業態も変化させました。その辺りで国内がスマホ時代に突入します。この目まぐるしい10年間を時代に合わせて動いたことが成功できた要因だと思っています。この先も、社会的・テクノロジー的にも変化の激しい不確実性の高い時代が続きます。より自身で世の中の問題や課題を見つけ出し、解決していく力が必要になってくるでしょう。

もちろん私も最初からその力があったわけではありません。これまでの失敗は数知れません。しかし、誰よりも早く挑戦して、誰よりも早く失敗し、誰よりも早く復活すればいいと私は思っています。やらずの後悔はしたくないし、もし迷ったときは、変化する方向に進めばいい。若い皆さんもリスクばかリ気にするより、新しい領域にどんどんチャレンジしてほしいと思います。