私は学生時代、世界中で仕事ができる商社を志望していました。しかし、「これからは通信が世界を変える」という先輩の言葉に感化され、当時電電公社から移行したばかりのNTTに入社、営業を担当しました。入社後も海外への思いがあり、社内留学制度にも応募、1994年から2年間、スペイン・バルセロナに留学。帰国後は関連企業で情報システムの仕事等に従事しました。語学と情報システムの知識は、以後大きく役立っています。
1999年にNTTドコモへ入社。携帯が固定電話台数を追い抜き、ドコモではiモードのサービスを開始した時期で、日々の技術変化が楽しくて仕方ありませんでした。コールセンターの全国拠点を統括し、品質管理を行う仕事は現在の業務にも通じるものがあると感じています。
2017年6月のABC Cooking Studio社長就任は、まさに青天の霹靂でした。会社の事業内容が大きく変わり、社長業も初めて。初めての店長会議では、128スタジオの店長は全員女性、本社の責任者も女性。挨拶の時の緊張感は忘れられません。

就任後真っ先に行ったのが、全国のスタジオを回ることです。そこで見たのは、先生と生徒さまが、料理の愛好者として「同士」のように接する姿。生徒さまには新しく入られた方も、20年以上通われている方もいて、先生生徒の立場を超え、知識と経験を伝え合い、温かい笑顔をかわしていました。創業以来の企業理念である「世界中に笑顔のあふれる食卓を」という言葉を改めて実感しました。責任重大ですが、まずは私自身、笑顔で仕事をすることが大切だと思っています。
新しいことにも挑戦していきます。地産地消や食育などの価値にも着目し、日本全国、海外にも広がるスタジオそれぞれの特色を出したサービスを開発、また、アプリやAI等、食と通信技術との融合も模索しています。
社会に出る時は、自分が何をしたいのかを真剣に見つめる必要があります。そして、実際に社会に出てみると、当初思い描いていたこととは、全く異なる方向に進むことも多いものです。しかし、それもまた良い機会です。臨機応変に、最高のパフォーマンスを発揮する方法を考えると、様々な道が開けます。未知の世界に進むときこそ、ステップアップのチャンス。前向きに羽ばたいていってほしいと思います。