私の実家はネクタイの製造業。父方の親戚には経営者が多く、自分も起業するのが当たり前なのだという意識は幼少期からありました。大学時代は、スキーツアーを組成したり、ビジネスの種を見つけにアメリカに行き、トラックを運転して車の部品を買い付けたりと、起業を意識して動き回りました。
大学卒業時、世の中はバブルのピークで、起業ブーム。しかし、当時は若いベンチャー起業家の資金調達方法が少なく、起業の思いを持ちつつ、学生時代アルバイトをしていた人材派遣会社に入社しました。その会社では、経営の師匠とも言える社長との出会いもあり、多大な学びがありました。当社のスタートはその会社の社内ベンチャーへの応募がきっかけ。現在の主業務である、企業や官公庁の福利厚生業務の運営代行は、当初からの事業構想です。
社内ベンチャーの制度では、事業開始後、2年で黒字にならなければ整理される決まりでした。設立当初は赤字が続き、期限切れは直前。しかし、私は「ベストを尽くしたので、もし失敗しても後悔はない」と考えていました。そして、劇的にも、24か月目で単月黒字を達成したのです。
目標に向け、今、この瞬間にできることをするしかない、という覚悟は、経営においてずっと変わりません。私の長期的目標は、あらゆるサービスの流通市場を作ること。電化製品の様に機能と価格で比較できず、本質的ではない広告宣伝に売上を依存する状況を変え、消費者にとって一番良いサービスがトップシェアを取るような、健全な市場を整備したいのです。
ビジネスは、誰かの役に立ってはじめて存在が許され、環境に合わせて変化できないと滅びます。当社には上場等、様々なターニングポイントはありましたが、いずれも到達点ではありません。思い描いた長期的な構想をどこまで実現できるか、常にその過程にあるのだと考えています。
若い皆様も、未来に向かって、今できることを考えてください。少子高齢化や人口減少等、日本の未来について悲観的なことを言う人は多くいますが、ピンチはチャンスでもあります。私は、遠くない未来「日本はあの苦しい環境があったからこそ、発展したのだ」と言われる時代が来ると確信しています。自分が置かれた状況で、今何ができるかを考え、行動をはじめてみてください。