人生の大半の時間を仕事に費やすわけですから、楽しくポジティブに物事を考えられることが望ましいと思っています。もし苦手だと思っている人と仕事をする場合であっても、教えてもらおうという気持ちでいけば結果はまったく変わっていくもの。ポジティブな気持ちでチャレンジをすることで、自ずと道は開けるのです。
私が社会人になった頃はとにかく利益最優先で、『24時間働けますか?』という言葉が流行するほど上昇志向の時代でした。しかし今は世の中が大きく変わったという認識を持っています。特にこれからは、愛情を持って社員の成長を見守る肝っ玉母さん的な会社や社長であるべきだと考えています。『働く人たちにいかに幸せになってもらうのか?』という時代がやってきているのです。
それに気がついたのは数年前、社員が心の病気になってしまった時です。一生懸命に仕事をする人だったのですが、それだけに責任感が強く、抱え込んでしまった。このままではいけないと思い、さまざまな社内改革に着手しました。仕事というものは、人から「やれ」と言われると苦痛やプレッシャーを感じますが、自分から望んで「やる」と決めたものなら、納得して全うできるものです。そこで、ある程度の経験を積んだ社員であれば、年齢や性別に関係なく自己申告で昇格を希望できる制度を導入しました。また、女性の役職者が出てきたこともあり、女性が子育てと両立しながら安心して働ける環境が必要だろうと、社内に保育室を設置。小さな子どもが社内にいるとかわいらしくて、とても癒される。これは、子どもに接することでオキシトシンというホルモンが男性も女性も出るからなんです。ストレスを軽減し多幸感を増す、思いがけない効果を生み出していると感じています。

また、社員にはいわゆる「報・連・相」ではなく「相・連・報」、つまり、まずは相談するように伝えています。そうすることで上司も何をやっているのかを理解できますし、仲間も協力しやすくなる。自分一人で責任を負うことはないのです。
時代に合わせた改革を行ったことで社内の風通しが非常に良くなりました。これからも『幸せホルモン』にあふれた優しい会社にしていきたいと思っています。若い皆さんも躊躇わず、周りの大人たちに何でも相談してほしい。意外と大人たちはそれを待っているものだと思いますよ。