会社にとって利益を上げることは非常に大事なことですが、それは最終ゴールではありません。「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」という企業理念を実現し、その価値を提供していきたい。今では多くの社員がその思いを共有してくれるようになり、とてもうれしく思っています。これからもスポーツがもたらす感動や興奮のいちばん近くにいる会社であり続けたいですね。
祖父が大阪の地で創業し、私が生まれたのとほぼ同時に東京営業所ができて、父が初代東京営業所長として赴任しました。当時は営業所の3階に自宅があったので、社員の人たちと一緒にごはんを食べていました。生まれた時からといっても過言ではないくらい、デサントはずっと私の近くにあったのです。
大学卒業後は別の企業に就職。連日深夜まで働く過酷な日々でしたが、お客様にも上司にも恵まれ、大きく成長するきっかけを与えてもらいました。仕事も楽しく、辞めたいと思ったことは一度もなかったのですが、ある日、実家に帰って家族で食事をしていた時、父がものすごく老けたような感じがして、その瞬間に「デサントに行こう」と決めました。阪神大震災が起こった頃で、いろいろと考えることがあったからかもしれません。

入社後はデサントが長年製造販売権を有していたアディダスの営業本部に配属されたのですが、その後1年余りでアディダスとの契約が解除。総売上の4割を占めていた事業だっただけに会社は窮地に陥りました。外部からトップを招いて経営再建を図り、過去の反省を生かして多ブランド展開と自社ブランドの強化に努めたところ、徐々に業績が回復。その頃、社長就任の話がありました。当初は悪い想像ばかりが頭に浮かんできていたのですが、ここ数年は心臓に毛が生えたのか、悪いことも良いこともあるのが商売だと思い、次の3年を考えることができるようになりました。現在はグローバルでのブランド価値向上などを目的に会社を分社化し、さらなる発展に向けて取り組んでいます。
これからの若い人たちには、もっと国際人になってもらいたいですね。海外の文化を知り、海外の人にも物怖じせずにしっかりと話ができ、相手の立場になって話ができる、そういう人になってもらいたい。日本をさらに強い国にするために、みんなで頑張っていきましょう!