私が会社を設立した2006年頃から、世の中ではSNSで自己を表現し発信するような時代となり、今や全盛期を迎えました。そしてデジタル上は大量の情報が渦を巻いています。しかし、瞬間的に切り取った知識だけを継ぎはぎしていては、文化や思想、そして理論について深く考え学ぶことは難しいのではと感じています。歴史から知恵を学び現代を知るからこそ、新しいものを創造することができるのです。過去から学ぶことなしに未来は創れません。
イギリスのジャーナリストで『西洋の終わり』の著者ビル・エモットは、1970〜80年代に勢いのあった日本はなぜか硬直してしまった、と言っています。1990年代に起きたインターネットのパラダイムでは、アメリカはGAFA、中国はBATなど、巨大なプラットフォーマーを生み出しました。日本は、その波に乗り遅れてしまいましたが、今なんとか必死に耐えています。この次に起こるパラダイムには変革を起こそうと大企業やベンチャーが出てきていますが、まだまだ足りません。もっと多くの企業がアクションを起こし、日本全体が動き変わっていかなくてはならないでしょう。

変革の勢いを加速させるためには、皆さんのような若い個の力が必要です。日本の大学は理系文系で分かれていますが、これは世界的にみても稀なことと認識してください。学ぶ領域を広げることは個の力を強くさせるのです。
日本は、一度失敗したらもう終わりという空気感があります。しかし失敗は成功への経験です。ベンチャーも大企業も、失敗を恐れない冒険の心で、もっとアクティブにアクションを起こせるように、クオンタムリープではあらゆる方面のネットワークを活かし、産学官が一体となったエコシステム「アドベンチャービレッジ」を創ろうと考えています。これを起点に、日本の社会を動かす一つのムーブメントにしていけたらと思っているのです。
新しいもの生み出していけるのはクリエイティブクラスの人です。これまで幾度も訪れたパラダイムチェンジに世の中を変えてきたのは、従うだけのワーキングクラスではありません。皆さんも個の能力を伸ばしクリエイティブに物事を考え、これからの未来に変革を起こしていきましょう。