弊社の先代経営者である父の元に生まれた私は、ランドセルを背負っていた頃から、両親の教育のなかで経営者になることを意識していたように思います。いつも言われてきたことは「経営者の肩には従業員×家族4人分の生活が乗っているのだ」ということ。人の人生を預かっている覚悟を持つということは、リーダーのあるべき姿であると教えられ、今でもそれを強く実感しています。
一流の営業プレーヤーでもあった父が築き上げた会社を引き継ぐということは、敷かれたレールを走ることから始まりました。自分よりもはるかに年齢も経験も上の人材が揃った輪の中で「このレールを走る以上は、周りの期待を良い意味で裏切るような走り方をしなければいけない」と努力を惜しまず必死に駆け抜けてきました。そこには恐れやプレッシャーなどはなく、ただ自分に課せられた運命に対し「やるしかない」という責任感だけが自分を突き動かしていたように思います。
入社当時の私は、まずは父のようにプレーヤーとして一流になることを目指しました。リーダーになる以上は、人よりも魅力がなくてはいけないと思ったからです。しかし、一流であった父の偉大さには敵わず、自分が一流プレーヤーにはなれないことを思い知らされました。その一方で、自分の本質を見極めたことが、リーダーとして歩む上での道しるべとなりました。マネジメントは一流を目指せると思い至った今では、私の姿を見て「自分がいつか社長になりたい」と言ってくれる社員もいます。これは私にとっては非常に嬉しい言葉です。私を育ててくれた環境が素晴らしかったように、次の世代を生み出す環境を作れているかどうかが、誇れる会社であるかどうかの判断軸だと思っています。

社長になるということは、保身を捨て最後まで戦うリーダーでいなくてはいけません。心折れそうになることはいくらでもあるでしょう。でも、自分が負けを認めるまで負けはありえません。勝つ時期が遅れても、折れない心でやり続ければ、最後には必ず勝つことができるはずです。
今の若い世代の方々には、ぜひ人と違うことを恐れないで、目の前のことに挑戦して欲しいと思っています。人と違うことは個性であり、個性はビジネスチャンス。自分の良さを見極め、なりたい自分を目指して走っていって欲しいと思っています。