私は大学卒業後にリコーへ入社し、最初に配属されたのはコピー機等の営業の仕事でした。始めは訳も分からず名刺を配り続けましたが、3か月セールスはゼロ。そんな時に心の支えとなったのは、「年間売上1位になれば技術職にしてやる」という上司からの言葉でした。そして「同期には負けたくない」という想いもあり、寸暇を惜しんで人より一件でも多く会社に訪問。営業方法を試行錯誤した結果、全国一位を獲得できました。この時の経験は大きな自信に繋がっています。
その後、機器のメンテナンスを行う技術職に転じ、「西畑が点検すれば故障リスクが下がる」と評価を受け、大手企業の担当を任されるまでになりました。そこで知ったことは、技術も営業と無関係ではないこと。信頼する技術者が「修理ではなく機器を入れ替えたほうがよい」と言えば、説得力が出て販売にも貢献することになるからです。営業に必要なのは「お願い」ではなく、自社商品の強みと顧客ニーズを理解し、業務改善の仕方を考え、提案すること。メリットに費用が見合えば買う、見合わなければ買わない。どの仕事でも同じことが言えますが、物を売るのは本来とてもシンプルなことなのです。

そうしたノウハウを活かしたいと2006年に独立し、現在は緊急地震速報システム・IP無線機の販売等を手掛けています。始まったばかりのシステムで、市場が一から作れる将来性、多くの災害に見舞われる日本での普及に社会的意義を感じながら、事業に邁進してきました。
私は新しいことを始める時、まず目標を掲げ、達成方法を逆算して考えるタイプです。現在の事業も最初から「売り上げ日本一」を宣言し、もし物が売れないなら、売る対象や広告、提案の仕方などを変えていけばいいと柔軟な考えで事業と向き合っています。そのためにも考えて考え抜くことが大事。そして本気で考えれば、100のうち1は本物のアイデアが出るものです。
若い方々もぜひ、「この仕事をものにしたい」「一番になりたい」といった目標を持ち、その方法を本気で考えて欲しい。やりたい仕事がなければ「年収1千万円を稼ぐ」という漠然とした目標でもいいでしょう。そして目標を達成すれば、「何事もやればできる」という自信が生まれ、その自信はこれからの人生をより豊かで実りあるものにしてくれるはずです。