仕事は「圧倒的な当事者意識とおせっかい」の気持ちを持つことが大切だと考えています。何が何でも成功させるという情熱と責任感を持って取り組むこと、そして巻き込む人たちへのおせっかいも必要だと思うからです。
私は幼少の頃からリーダー気質で、大きなグループで後ろにいるというよりは、小さなグループで先頭を切って走っているタイプでした。就職活動の時、周りの仲間は商社や保険会社に内定して喜んでいましたが、私にはそれが理解できなかった。「そんな大企業じゃ自分より高学歴の人が沢山いて、偉くなれる可能性が少ない。そんなの面白くないじゃないか」と。そして私は、「この会社なら社長になれる可能性が高い」と感じ、ブラザー工業に入社したのです。
事業を行う上で大事なことは、失敗を恐れず、信念を持って、果敢にチャレンジすることです。私は入社3年目の時、海外市場開拓のために米国へ赴任。サンプルの機械を持って一人でロサンゼルスの空港に降り立ちました。当時、英語は得意ではなかったので恐々とやっていましたが、幸い事業を軌道に乗せることができました。入社して41年が経った今でも、「とにかく俺がやらなきゃ」「自分が頑張らないとこの会社はダメになる」という思いは変わりません。もちろん沢山の失敗もしましたし、会社に多大な迷惑をかけたこともあります。それでも「後でこの借りは絶対に返すぞ」という思いを強く持ち続け、一つひとつの壁を乗り越えてきたのです。
私のポリシーは「明るく・楽しく・元気に」「人とのつながりを大切に」「常に何事にも好奇心を持つ」です。この三つを大切にしてきたおかげで、良縁に恵まれ助けられてきました。
若い皆さんには志を高く持って、人と違うことにも挑戦してほしい。若い時はパワーがあるし吸収が速いですから、色んなことに興味を持つと、色んなことが面白くなります。そして若いうちに積んだ経験は、人生をより楽しくしてくれるでしょう。多くのものが身に付けば、老いた時にそれが自分の助けにもなってくれるはずです。人生の時間は限られていますし、年を取ってくると色んなしがらみが出てくるもの。やりたいことがあるのなら早く挑戦して、早く失敗して、免疫をつくっておいたらいい。最終的に自分の人生は、責任を取るのも信頼を得るのも自分ですから。