私は学生時代から「いずれは海外に出て働きたい」という思いがあり、大学卒業後は米JPモルガン東京支社に入社し、32歳からロンドン支店に勤務。その後、バークレイズ本店に転職し、16年に渡る英国生活の後、東京に戻って現在に至ります。金融業界での仕事は31年目に入りました。
今では採用する側の立場となりましたが、履歴書と短い面接だけで人の適正や本質を判断することはできないと常に感じています。志望者の方々と直接会い、じっくり時間をかけて話し、当社との相性までみるのが私たちのやり方。そのため採用には他社よりも時間がかかるかもしれません。
そして、応募者の側からもバークレイズを選んでもらうことが重要です。お互いに相手を吟味し、双方向での価値観の理解・共有を目指します。結果としてお互いに相性が合わないということもありえます。会社選びにはそれだけオープンな対話が必要だということです。
もし私が今、皆さんと同じように若い頃に戻って就職を考える立場にいたとしたら、やはりダイナミックな国際投資銀行を選ぶと思いますし、その中でも330年の長い伝統と革新の歴史を持つ英国バークレイズを志望するでしょう。日本には金融を縮小均衡業態と悲観する向きもありますが、私はそうは思いません。金融の果たすべき役割はまだまだたくさんあります。未上場株を扱うプライベートエクイティや、フィンテック、個人資産の今後の行方、そしてESGやグリーンボンドなどの話題は皆さんも聞いたことがあるでしょう。これからはディザスターリリーフ(災害後の復興)ファイナンスへの関心も高まってくると思います。私たちは、全方位で社会との繋がりを持つ”人の顔をした金融“を目指しています。
ラグビー日本代表の主将リーチマイケルさんは、ワールドカップ開幕前に「優勝を目指す」と語っていました。ベスト8を目標に掲げるのとトップを目指すのとでは、取り組む姿勢が大きく変わってきます。仕事もこれと同じです。トップを目指すのであれば、それ以上の努力を惜しまない気概が必要です。そしてそれは顧客にも間違いなく伝わります。
その上で、若い社員のアウトプットを引き出すのが今の私の仕事。「今までとは全く別の角度からアプローチしてみたい」という新たなアイデアが生まれたら、遠慮なく声を上げてほしい。それを受け止める準備はできています。