大学まで打ち込んだ野球で、常に打順は1番でした。誰も踏んでいない塁に出て、自分のバッティングで後の戦略が決まっていく。ゼロから切り開く感覚が好きで、社会に出ても何かの分野で「一番」を走りたいと考えていました。
東京電機大学卒業後、自動車部品の商社、大手機械メーカーを経て、父が創業した当社に入社。直後から自動車業界への新規参入を推し進め、主事業として成長させました。そして、社長就任後に着手したのが海外進出です。タイ工場の設立などが原動力となり、飛躍的に業績を伸ばすことに成功しました。
海外事業を手掛けて感じるのが、否応なく押し寄せるグローバル化の波。すでに世界は「One World」の時代です。日本の中小企業は、国内大企業の下請け意識が未だに根強いのですが、自社をブランディングして世界にアピールし、大企業と対等に向かい合う必要があると感じています。
憂慮するのは人材です。日本の学校はいまだに、先生が教壇の「上」から教え、生徒が黙って聞く受け身の教育システム。自分の考え、情熱を伝えるプレゼンテーションも苦手です。日本人は真面目だけど、皆同じようにみえ、クリエイティブな発想がないと評価されているといわれます。個性が解き放たれていないのです。10年後、日本企業のトップはほとんど外国人か、外国で教育を受けた人になるかもしれません。その下で従順に仕事をこなす日本人ではあまりに悔しくないでしょうか。
まずは自分が興味のあること、得意なことを磨き上げることです。自分の強みを磨くからこそ、自分の短所も課題も見えてきます。そして、会社の枠にとどまらず、自分が持つ世界標準のスキルは何なのか、意識して働くことが大切です。就職活動でも、企業の規模や有名か否か、親や他人からどう見られるかで決めるのではなく、自分が何をしたいのか、なぜここで働くのか、この会社で自分は歯車の一つではなく個性を解き放てるか、失敗に寛容で新しいことにチャンレンジさせてくれるのか、といったことを見て決めてほしいと思います。
当社は、さらなる海外進出、新規事業参入などの改革の途上にあります。経営者として、既成概念にとらわれず自由に思考し、未来につながる事業を創出、次世代に引き渡す「トップバッター」の役割をこれからも担っていきたいと思っています。