私の故郷は、北海道の岩内町。実家は日本海の海岸沿いにあり、冬に汽車から見る真っ白な海外線が強く印象に残っています。厳しい冬と、木々が色づく春。楽しい夏に実りの秋。四季折々の豊かな自然に囲まれて育ちました。
若いころは「世界で働いてみたい」という思いが強く、札幌日産に就職してからは、積極的に海外勤務を志願し、マレーシアなどで働きました。海外経験は、私を精神的にたくましくしてくれると同時に、故郷を思う気持ちも強くしてくれました。
23年務めた日産を辞め、当社を設立したのは1998年。日産の経営状況の悪化でコストカットがささやかれていた時期で、それならば、北海道で起業し自分の力を試してみようと思ったのです。
バブル崩壊後、北海道拓殖銀行の破綻がありましたが、経営者となって気付いたのが故郷の危機。とくに採用の際、道内の学生が多額の奨学金を抱え就職する状況に衝撃を受けました。また、車が生活必需品の北海道で、車を購入する子育て世代のお客さまの苦しい経済状況も目の当たりにしました。大気汚染、水質悪化など北海道の環境問題も深刻です。気候変動により短かった夏は長く、猛暑にみまわれ、豪雨災害も増加しています。単に車を売るだけではなく、次第に「故郷のために何ができるのか」と考えるようになりました。

当社は現在、軽自動車に販売特化しています。北海道では軽自動車の普及率が低いのですが、価格が安く燃費の良い軽は、維持費が少なく費用を捻出するための良い選択肢。環境負荷の低さからも、普及を推進することが社会貢献になると考えています。お客さまのライフプランのシミュレーションを行い、最適な車種を提案できるのです。また、当社独自に整備士を目指す学生の奨学金サポートにも取り組んでいます。
最近では、理念が社員に浸透し、お客さまの幸せのために何ができるかを考えながら、生き生きと仕事に取り組む社員が増えたと感じます。そのような社員の成長を見るのは何よりも嬉しいこと。私もまた北海道のお客様、社員、取引先の皆様、全ての人との出会いにより、物の見方、幸せの感じ方が変わり、人として成長させていただけたと感じます。これから社会に出る若い方々も、良き縁に出会い、夢と希望と幸せを感じられる仕事ができるよう心から願っています。