私にとって「働く」とは、周りを幸せにすることです。「働く」という言葉の語源は諸説ありますが、「傍(はた)を楽にする」だともいわれています。それこそが、仕事の本質だと思うのです。
20代の頃、商社で営業をしていました。会社のスタンスは「とにかく売れ!」でしたが、私はそれが嫌でした。ひたすら売り込んで、買ってもらったら終わりではなく、顧客である小売店の売上をどう上げていくかを一緒に考えていこうと、コンサルティング営業に取り組んだのです。そのスタイルを貫くことで結果を出し、25歳の時に京都支店に転勤、支店長となりました。しかし当時、京都支店の売上は全国にある支店の中で最下位。営業社員たちは朝会社を出るとまず喫茶店に行き、午後になってやっと仕事をする…という状態。彼らは仕事がつまらないから、そうしてダラダラと1日を過ごしていたのです。それなら面白くしよう!と、私がやってきた「お客様に喜んでもらえる営業」を教えました。すると数字が上がり始め、社員のやる気も目に見えてアップ。そしてついに、京都支店は最下位から全国トップとなりました。
その後、本社からは戻ってこいと言われましたが、会社員としての人生は先が見えて面白くないと29歳で退社。自分で会社を立ち上げ、縁あって健康産業に足を踏み入れることになりました。当時は健康産業=詐欺師のようなイメージすらありましたが、それだからこそ、皆に喜んでもらえる、本当にいいものを広めようという思いでやってきました。実は一度、倒産の憂き目にも遭っています。しかし、悲嘆に暮れるようなことはありませんでした。もともと楽天的で、人生はゲームのようなものだと考えているからです。お客様に迷惑をかけないように個人の財産を全てはたいて会社を整理し、その後すぐに新しい会社を設立。それが現在のトラストレックスです。
今の若い人は人生に夢を持てていないとよく言われます。でも、それを人や環境のせい、時代のせいにしてほしくないと思います。自分がこの世の中で生きる意味、自分がその中で何をするべきかをよく考えてほしい。すると、やはり「働く」ということに意義を見出すのではないかと思うのです。働くことで人々を幸せにし、そこに自分の喜びが生まれ、夢も創られていく。あなた自身の大きな夢を、ぜひ「働く」ことを通して見出してほしいと思っています。