セイコーホールディングス株式会社 服部 真二
セイコーホールディングス株式会社 代表取締役会長 兼 グループCEO 兼 グループCCO

服部 真二

Hattori Shinji

氏名
服部 真二 (はっとり しんじ)
生年月日
1953年
趣味
音楽、ゴルフ
座右の銘
やってみせ 言って聞かせ させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ
尊敬できる人
上杉 鷹山

社名
セイコーホールディングス株式会社
本社所在地
東京都中央区銀座1-26-1
資本金
100億円
従業員数
連結12,092名(2021年3月31日現在連結)
事業内容
ウオッチ、電子デバイス、システムソリューション、クロック、高級宝飾・服飾・雑貨、設備時計などを扱う事業会社の連結経営管理
セイコーホールディングス株式会社 代表取締役会長 兼 グループCEO 兼 グループCCO

服部 真二

Hattori Shinji

時代のニーズに即した創造力を求めて

私は大学卒業後、総合商社に9年間勤め、1984年にクロックやカメラ部品、プリンターなどを製造する精工舎(現・セイコークロック)に入社しました。入社時から頭にあったのは、1881年にセイコーを創業した曾祖父、服部金太郎が信条としていた「常に時代の一歩先を行く」という言葉でした。

しかしセイコーでは、いきなり大きな失敗をすることになります。プリンターの担当になり「これからはカラーの時代。カラープリンターを作ろう」と開発部門に発破をかけ、当社初のカラープリンターを発売しましたが、ほとんど売れなかったのです。要因は、時代の先を行き過ぎていたから。ニーズの二歩、三歩先ではなく一歩先を行くことが大切であるという、曾祖父の言葉の本当の意味を実感しました。その後、2010年にはセイコーHD社長に就任。現在は同HD会長兼グループCEO兼CCOとしてグループ全体のかじ取りを行う立場となり、曾祖父の言葉は、より身近に感じられています。というのも、今は曾祖父の生きた明治時代と同様、価値観が大きく変化する時代であるからです。

セイコーホールディングス株式会社 服部 真二

昨年、人類は新型コロナ感染症という危機に見舞われ、生活様式や価値観に大きな影響を及ぼしました。めまぐるしい変化の中、情報の洪水の中で、製品の本質は何か、ということを人々はより強く希求するようになりました。時計のブランドビジネスでは、製品の機能や利便性が高いことは当然ですが、その背後にある作り手の考えやストーリーを発信していくことが一層重要になっているのです。例えば、創業の地である銀座に2020年8月にオープンしたセイコーミュージアム、岩手県の雫石町で工房と展示室を構えるグランドセイコースタジオ 雫石の設立は、ブランドの発信のための試みです。

一方でステイホームやそれに続くウィズコロナ期間には、潜在的なニーズや新たな課題が次々と浮上しました。常に一歩先を見据え、課題を解決するための提案を迅速に行うことが企業に求められています。例えば、非接触センサー技術の体温計への応用や、オンライン上の決済、時刻認証など、非接触、リモート環境に適した技術を追求し、スピード感をもってその価値を世に問うています。

この二つは正反対に見えてお客様の心に響くサービスを届け、寄り添うという意味では共通の核を持つものです。今、私たちが求めるのは、ブランドの精神をストーリーとして届ける能力と、新しいニーズを読み解く柔軟な発想の両方を兼ね備える人材です。新しい世代の皆さまに、大いに期待しています。