私は中学を卒業した後、わずか15歳で社会に出ました。当時はブラック企業が当たり前の時代で、最初に入った会社もその一つ。社会に出て約10年、理不尽な上司と衝突しながら放り出されるように独立したのです。どうせ人生は後ろ向きには下がれませんし、前に進むしかない。それからというもの、前進するときは下も上も向かず、真っ直ぐ前だけを見て人生を歩んできました。その中で唯一救いだったのは、仲間がついてきてくれたことです。私の商売の基本は義理と人情、感謝と謝罪。そして社長自ら率先して失敗に飛び込んでいくことで、その経験を伝え、共に歩む仲間が同じ轍を踏まないように心がけてきました。私の性格は猪突猛進で、一度決めたら一直線に前へ突き進むタイプですから、失敗談にはキリがありません(笑)。しかし仲間のためになるならば、何も恐れることはないのです。
当社は多角経営が特色ですが、その源泉は社内に根付いたプレゼン文化。各々自分がやりたいと温めてきたアイデアを企画書にまとめ、上司や私の前で発表し、採用された企画はプレゼンした本人を部長として、翌年の新規事業としていきます。社員の夢を具現化し、叶えてこられたのはこの文化のおかげだと思います。

そのため毎年のように新企画がどんどん舞い込み、いつの間にか多角的な経営になっていきました。とにかく面白く儲けたいと思っているんです。もし自分が雇われるなら、こんな会社だったら面白い、こんな仕組みなら意欲が湧くだろうという環境づくりを徹底してきました。実際に当社で働けば「どんな面白いことができるんだろう」という期待感を持ってもらえることが、経営者として一番に大切にしていることでもあります。それが社名の由来でもあるアンフィニ(無限大)に繋がっていくと考えてきました。
そんな私も実は、以前まで仕事が大嫌いでした。しかし働き続けるうちに、自然と仕事が好きになっていきました。本も嫌いでしたし英語も嫌いでしたが、これもまた続けていくうちに好きになっていきました。嫌なことほど自分の糧になりますし、その後の世界の開け方が違ってくるのです。起業して12年。経営者・松本健太としては、第一章の途中です。その間、仲間や従業員、家族も増えました。今は少しでも先に進み、その経験を伝える時期だと思っています。そんな私から若い方々にお伝えしたいのは、「マイナスのマイナスはプラスになるし、後ろの後ろは前になる」ということ。どんな時でも前向きな気持ちと笑顔を忘れずに、未来への道を歩んでいってください。