私は決して裕福な家庭で生まれ育ったわけではありませんでしたが、大学に通うための学費や生活費などは全て自分の稼ぎで賄ってきました。学生時代から人一倍働いてきたと自負しています。
しかしその中で、一度も「辛い、苦しい」と思ったことはありませんでした。日雇い仕事から住み込みの警備、ウェイターなど、本当にさまざまなアルバイトを経験していく中で、自分の成長を感じられることを心から楽しんできたからです。何事も途中で投げ出すのが嫌いな性格でもありましたし、どの仕事にも最後まで真面目に取り組み、やり抜いていくことが私のモットーでもありました。そして仕事を自分なりに工夫し、楽しむことで、「何でもやっていける」という自信を身につけていったのです。私にとって「働く」ことは、呼吸をするように自然なことでもありました。
当社でも倉庫担当、販売、経理・総務、営業管理など、「やっていない仕事はない」と言えるほど、あらゆる職種を経験しました。会社が成長していく過程では今まで取り組んだことのない新しい仕事も生まれますが、「初めてのことだから出来ない、進め方を知らない」は通用しません。しかし未知の仕事というのは、やりたがらない人も多いのが実状です。だからこそ私は、率先して新しい仕事でも引き受け、自分の糧にしていきました。新しいことへの挑戦は、私にとって成長に欠かせないものであると思ったからです。

どんな仕事でも自分なりに工夫をすれば何かしらの成果が出ますし、成果が出れば楽しくなっていくものです。それを繰り返す中で、気づけば社長というポジションを任されるまでになりました。経営者となった今でもその考えは変わらず、新たな世界や仕事と出会えることを日々楽しみにしています。
社長就任時は二期連続の赤字というどん底の時期を経験しましたが、会社を立て直す自信は誰よりもありました。何を改善すべきかわかっていたからです。そして社内の全部門を回り、無駄や課題を一つずつ改善。翌期には黒字化し、その後も過去最高益を達成しています。
現代は情報化社会に突入し、進路を決めるにも様々な情報が溢れすぎているため、迷いが生じてしまうケースも少なくないでしょう。情報に振り回されて多くの時間を費やすことは決して有益なものとは言えません。それよりも「この会社で働こう」というブレない軸を持ち、どんな状況下でも自分が置かれた環境を楽しみ、やり抜く強さが必要です。その姿勢こそが真の成長へと繋がっていくはずですから。