私は幼い頃から外より家の中で遊ぶ方が好きな人間でした。折り紙をしたり、おもちゃを分解してみたりと、手を動かすことに熱中する毎日を送ってきたのです。その後、美術系の高校に進み、卒業後はアルバイトをしていたアパレルの会社に就職。それから３年間はずっと休みなく働き、お給料も手取り15万程度と厳しい生活を送りました。実家に仕送りもしたかったですし、どうにかしてお金を稼ぎたいと会社を辞めてビジネスを立ち上げたのですがうまくいかず、激務の末に体調を崩してしまいました。そして実家に引き籠もる生活が続いたのです。

そんなある日、私のことを話す家族の会話が聞こえてきました。家から出られない私のことを心配する母と姉に、普段は寡黙な父が、「これまで頑張ってきたんだから少しくらい休んだっていい。きっとまた立ち上がれるときが来るから信じて待とう」と諭していたのです。大きな家族からの愛を感じ、もう一度頑張ってみようと思えるきっかけになりました。

そして一念発起し、もともと好きな分野でもあったWebライターの道へ。その頃に学んだWebマーケティングが素地となり、本業となっていきました。そしてお仕事を頂く際に「もっと自分を知ってもらう良いツールがあればと考え、自分の半生をホワイトボードに描いてアニメーションにした「お絵かきムービー」を制作。それが反響を呼び、仕事が激増していったのです。さらに起業家や事業家の方々から「お絵かきムービー」を作ってほしいという声を多く頂くようになりました。現在は認知度の向上や、集客をしたいという彼らの大きなニーズに応えるため、ムービー制作に携わるクリエイターを育てる活動に注力しています。好きなことを仕事にし、かつ十分な報酬を得られるクリエーターの数をもっと増やしたいですし、そんな彼らの生き方が主流になることが目標です。

若い方々が就職先を選ぶとき、自分の好きを軸にすることは重要です。ただ、最初は好きとまではいかなくとも、興味程度の動機で十分だと私は思います。興味が「好き」に深まったり、経験を得て自分に自信をつけるきっかけになったりするものだと思うからです。

今の時代、「会社に骨を埋める」という働き方は一般的ではありません。だからこそ、もっと楽な気持ちで仕事を選んでいいと思います。転職をする際も、一番重視されるのは自分が何をしてきたかということ。そこが明確に示せるのであれば、もう怖いものはありません。若い方々には、自分の好きや興味を軸に、軽やかに進んでいってほしいですね。