私は大学3年生の時に水球の世界大会に出場するため、アメリカとブラジルへ2週間ずつ滞在した経験があります。世界中から学生が集まり、英語が母国語の学生もいれば、そうでない学生もいました。この時、様々な国の学生と交流をしたことで、外国人とコミュニケーションをとることに対する不安は消えていきました。そうした経験が海外へ行くことへのハードルを下げていったのです。
その後、会社員時代には「トニーローマ」や「ハードロックカフェ」などを日本に持ち込んでフランチャイズ化する事業や、「カプリチョーザ」を国内・海外に展開する事業を手がけるなど、常にグローバルな視点で仕事を進めてきました。その経験の先にあったのがキッザニアとの出合いだったのです。
こども達が職業体験のできる「キッザニア」という施設がメキシコにあるという話を聞いたのは、私が当時勤めていた会社を定年退職したすぐ後のことでした。最初は興味本位もあり、「ちょっと見に行ってみようか」という気軽な気持ちでメキシコまで足を運んだのです。
現在、日本では豊洲(東京都)と甲子園(兵庫県)で事業を展開しており、こども達が約100種類の職業や社会体験を楽しんでいます。そこにあるのは、エデュケーション(教育)とエンターテインメント(娯楽)を融合させた「エデュテインメント」です。

今、教育をめぐる環境は大きく変化しています。そうした環境の変化を受け、人材のグローバル化はさらに進んでいくことでしょう。つまり今後、日本人に求められていくのは「社交性」なのではないかと私は考えています。
私自身はシャイな性格なのですが、社交性を養うために普段実践していることがあります。それはエレベーターに乗った時に、居合わさせた人に必ず挨拶をするということです。ほんの些細なことかもしれませんが、この習慣がパーティなどで気後れせずに交流できる社交性の確立に繋がっていったように感じています。日本語で挨拶ができない人は、どれだけ英語を勉強しても意味がないというのが私の持論でもあります。
キッザニアに体験に来るこども達は、様々な職種に挑戦することで自分に合った職業を見つけていきます。これから社会に出る若い方々もチャレンジを重ねることで、自分に向いている職業が必ず見つかるはずです。そしてグローバルな社会の中で活躍できる人になっていくためにも、教養を身につけ、社交性を鍛え、地球規模で物事を考える力を養っていってください。その先に明るい未来が見えてくるはずです。