株式会社セールスフォース・ドットコム 小出 伸一
株式会社セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 社長

小出 伸一

Koide Shinichi

氏名
小出 伸一 (こいでしんいち)
生年月日
1958年

社名
株式会社セールスフォース・ドットコム
本社所在地
東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー12F
資本金
4億円
従業員数
2,700名(2021年1月時点)
事業内容
クラウドアプリケーション及びクラウドプラットフォームの提供
株式会社セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 社長

小出 伸一

Koide Shinichi

違いを認め合い、革新を起こせ

私は、福島県で自動車部品の卸問屋を営む両親の元に生まれました。一人っ子だったので、いずれ後を継ぐものとされ、私自身も自然とそう思って育ちました。家業を継ぐ前の社会勉強ということで、大学は東京へ。卒業後は、後を継ぐ前に幅広く経験を積みたいという思いから、就職する道を選びました。

営業として入社した日本IBMでは、最初の18ヶ月間の研修をトップで修了しましたが、その後3年間はまったく結果を出せませんでした。つらい日々でしたが、失敗から真摯に学び、徹底して顧客目線に立つことで、6年目にはトップ営業として表彰されました。40歳で米・ニューヨークの本社に赴任し、当時の米IBMのCEO、ルイス・ガースナーの下で戦略立案に携わりました。

帰国後は社長室長として、女性の活躍推進のためのタスクチームを立ち上げ、共同リーダーを務めました。その活動の折、2000人の女性が集まるパネルディスカッションの中で、ただ一人男性として登壇する機会がありました。ダイバーシティに取り組んではいたものの、実際に自分がマイノリティの立場に置かれてみて、本質が何も分かっていなかったのだとショックを受けました。この衝撃が、セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)のコアバリューである「平等(イクオリティ)」の取り組みを推進する力にも繋がっています。

株式会社セールスフォース・ドットコム 小出 伸一

その後、2014年に当社の代表取締役会長兼CEOとなりました。かねてより交友のあったマーク・ベニオフ(セールスフォース創業者、会長兼CEO)に誘われたのです。当時は、ほとんどの社員が中途採用で、さまざまなバックグラウンドを持つスペシャリストの集まりであり、企業カルチャーが育っていませんでした。多様な人材が集まるのは素晴らしいことですが、それぞれの違いを認め合わなければ見えないところで格差が生まれ、広がってしまいます。イノベーションは多様な個性のぶつかり合いと融合から生まれます。業界のパイオニアとしてイノベーションを起こしていくためにも、社員一人ひとりがイクオリティに目覚め、社内外に文化として浸透していくことが大切なのです。それが当社がコアバリューの一つに「平等」を掲げている理由でもあります。

時代はものすごいスピードで変遷を続けています。目標が小さければ時代の流れの中ですぐに見失ってしまうでしょう。ですから、若い人々にはぜひとも大きな目標を持ってほしいのです。その達成のために何をすべきか。情報過多の時代の中で、余分なものを削ぎ落とす引き算の発想で、目標に向かって人生をデザインしていってほしいと思います。