介護·看護を必要とする方にとって幸福な余生とはどのようなものか？突き詰めて考えれば、従業員が笑顔であることに尽きると私は考えます。そして、確固たる人助けの精神に支えられた経営感覚なくして、従業員が笑顔でいられる現場は持続できません。当社は2003年の設立後、デイサービスの他、訪問介護、訪問看護、有料老人ホームなどを展開し、さらに、医療法人も立ち上げ、24時間365日切れ目のない医療と介護をトータルで提供してきました。この仕組みが「トータル」であるメリットは大きく２つございます。ひとつは利用者を包囲的に手厚く見守れること。そして、我が国の保険制度（介護·医療）の報酬も包囲的に得られることです。厚生労働省からの報酬は利用者と向き合う従業員の給与と直結します。彼らの笑顔を経営陣が担保し、利用者の幸福も約束する。それが私の描く医療と介護のトータルケアの在り方なのです。

近年、保険制度に矛盾を感じ、目に余るものがあると私は思います。利用者には要介護状態区分上で決められた「点数」があり、区分支給限度外のサービスには報酬が出ません。例えば、訪問先で「切れている電球を換えてあげた」という行為は、自治体によっては「過剰介護」とみなされるケースもあり、基本的には認められていないサービスと認定されます。この制度は従業員も献身も利用者の生活も踏みにじるような気がして、私は大いに疑問を感じております。日々、利用者と向き合う私たちだからこそ、声を上げ続けなければならない問題ですし、さらに大きな声（影響力）を持つためには、当社が資本的にも岩盤な会社組織となり、国が無視できない存在へと発展しなければなりません。「人の命を預かる」ということを民間側から突きつけていかなければならない切実さを、私は痛感しております。

そのためにも、中·長期的な人材確保に余念がありません。社内には働きながら介護資格取得を目指す無料スクールも併設しました。無資格者にも採用の門戸を開いております。また、ホテルのような空間にカフェを併設するなどのハード面の充実で、従業員の心持ちや面会者の気軽さもかなえました。

私は極貧の中で育ってきました。だからこそ、小さい頃から人助けばかりしていたのかもしれません。そして、21歳の頃に要介護となった祖母がヘルパーさんたちから荒々しく扱われているのを見た衝撃が現在の私につながっています。この業界を積極的に目指す若い方は多くはありません。ですが、今後ますます重要度が高まる介護業界において、私どものような”イズム“が現れていること、さらには確実に支持拡大されていることに、業界を切り拓く使命を強く感じております。