仕事は「人」である。私は日本IBMでの社会人人生を通し、「絶対に一人では仕事はできない」ということを身をもって学んできました。お客様や上司、部下、仲間、さまざまな「人」に恵まれたからこそ、今の私があるのです。

弊社に入社して３年目の頃、通常ならば経験の浅い若手は配属されないチームへ異動となりました。多くの人が難儀を示していたなか、「あいつは逃げないから挑戦させてやってくれ」と、当時の上司が見守ってくれていたことを後に知りました。

その後も、絶対に成功しないとまで言われていた数百億円規模のプロジェクト責任者を任せていただいた経験もあります。昔の上司がそれを見かねて、「見ている人は見ているから頑張れ」と励ましていただき、本当に嬉しかったことを今でも覚えています。我慢してくださった取引先の方、仲間、部下がいたからこそ、この絶対に成功しないと言われていたプロジェクトを完遂することができたのです。

そうした経験が「一人では仕事はできない」ことを実感させてくれたのです。社長に就任した現在は、社員みんなが働く楽しさを感じられる仕組みや風土づくりに尽力しています。分け隔てなく付き合い、公平に努力を認め、信頼関係を築くワンチームになり仕事をすること。それが一番楽しいということを学んだからです。

過去の評価システムでは、社員各々の担当枠が決まっており、その枠内でどれだけ成績を収めたかが評価対象でした。現在は部署・担当の枠を超え、いかにワンチームで会社やお客様に貢献できたかも評価対象に入るように仕組みを変革。「枠を超えて頑張ろう」と会社の雰囲気も変わってきたように思います。

日本IBMは、お客様やビジネスパートナー、そして社員にとって何がベストなのかを常に考え抜く会社です。これだけ変化が大きい世の中ですから、企業のみならず、社員一人ひとりも大きく変革し続けなければなりません。お客様に対しても変革を提案させていただくこともあります。大切なことは、常に考え抜きベストを尽くす力だと思うからです。そして時代の変化に対応し続け、テクノロジーで世の中に少しでも貢献できる会社を目指していきたいと思っています。

若い方々には、世の中の変化を前向きに捉え、どのようにして新しい世界を作っていくかを常に考えてほしいと思っています。

そして、自分の意見や想いを周りに発信し、その想いを実践していくことがとても大切だと思います。私も企業のトップとして常に変革していきたいと思っていますので、皆さんも一緒に頑張りましょう。