1960年、終戦の時に大連から引き揚げてきた両親の元に生まれた私は、「与えられた責任は果たす」という教育を受けて育ちました。それが現在に至る生き方の根幹になっています。大学卒業時に入社したのは東急不動産でした。街づくりやコミュニティの形成に目に見える形で関わり、それらを実現していく不動産ディベロッパーの仕事に魅かれたからです。営業職などで研鑽を積む中で、仕事の責任を果たすことに対して辛いと思うことはあったとしても、職責に対する疑問を感じたことはありませんでした。
入社12年目にバブルが崩壊し、当社に出向。環境の変化に真摯に向き合い自分の責任を果たすために努力しました。人事に3年いて東急リバブルという会社を学び、その後8年間の経営企画室時代を経て、経営に関する考え方の基礎や知識を身に付けていきました。しかし、全てが右肩上がりに進んでいると思っていた矢先、リーマンショックが起こったのです。不動産業界は環境変化にダイレクトに反応するため、当社も赤字の危険に晒されました。トップに何度も話しをして対策を打ち、過去最低の経常利益ながらも黒字経営を続けることができました。その経験は困難な思い出でもあり、良い思い出でもあります。
社長就任を命じられたのは、経営管理本部長を務めていた時のこと。突然の人事で心の準備はできていませんでしたが、覚悟を決め引き受けました。しかし、いざ社長になってみると想定外の出来事が続きます。責任を果たすために必要な情報量は段違いに多く、その中で最適な判断を下していかなければいけません。責任の重みは想像以上のものでした。
当社は、全国で不動産流通事業を展開し創立50年になります。売買仲介業を柱として、新築物件の販売、中古物件の買取・加工・販売、賃貸仲介も手掛けています。同業の中では比較的事業領域の広い会社だと言えるでしょう。不動産を流通させる事業は、社会貢献にもつながります。1972年の創業以来、変革とチャレンジを幾度となく続けてきました。今後はさらに事業を成長させ、プレゼンスを上げていきたいと考えているところです。規模を拡大し、さまざまな領域で影響力を持つことで、社会の見る目も少しずつ変わってきたのではないでしょうか。そんな中、若い方々には常に自分で考え行動してもらいたいと思っています。依存せず生きるということは、自由に生きることでもあります。若いうちは思う存分、自由を謳歌し、自分の人生を楽しんでほしい。その経験が大きな糧となっていくはずです。