当社が大切にしているのは、まず変化への対応力です。IT業界はスピードが速く、ある期間は勝ち組だったとしてもすぐに次の技術を手に入れてキャッチアップしていかなければいけません。それでなければ、いつの間にか負け組になってしまうのです。世の中の変化にしっかりとアンテナを立て、いかに自分が変わっていけるか、私自身は経営者として、そうしたことを強く意識するようにしてきました。
そして、もうひとつはコミュニケーション能力やホスピタリティです。我々はITの技術を提供する会社ですが、お客様から「この会社、この人に頼めば大丈夫」と思っていただくためには、技術の高さだけでなく社員一人ひとりがお客様に寄り添うことが重要。決して上から目線ではなく、困っていることを引き出し、そこにどう我々の技術を提供できるか。そういったホスピタリティ精神を大切にすることで必要とされる人材になっていけるのではないかと思っています。
幼い頃、奥手だった私は、父から「その性根を鍛え直してこい」と地元から離れた北海道にある高校で寮生活を送ることになりました。1つの部屋に約100台の2段ベッドが並んでいるような環境で、プライベートは一切なし。寮を出ていく同級生も多くいました。そんな環境下で寮生活を送った私は、この場をどう快適に過ごすかということだけにフォーカスを当て、奥手だった性格を自ら変えていきました。人間関係を築く術もその時代に学ぶことができたような気がします。
そんな学生生活を終え、一度は父と全く違う業種に進みたいと思い鍼灸の道へ。当社を後継するまでは鍼灸師として働きました。患者数が減ってしまう時期もありましたが、そこで感じたのは辛い現実であっても、それをちゃんと把握して改善することで必ず良い結果が出るということ。自分の好きなことに対しては一生懸命チャレンジしている人も多いと思いますが、苦手なこと、失敗しそうなことにも一歩を踏み出す勇気を持ち続けることが大切です。心が折れそうになっても何が課題なのかを問い続け、それに気付けば必ず成長できる。その全てが自分の糧になるのです。
私は社長に就任してからというもの、いついかなる時も挑戦を続けてきました。自分の父である創業者の前会長は、チャレンジするなかでの失敗は一切不問という考え。その挑戦のDNAが、今も自分のなかに根付いているのです。
現状を変えようとするとき、そこには失敗するかもしれないという不安が伴うのは自然なことでしょう。しかし目標だけにフォーカスするのではなく、視点を上げて視野を広く持ってみてください。それを意識し続ければ、自分が何に全力を注ぐべきか、その方向性にも気付くはずです。