バークレイズは英国を本拠地とする総合金融グループです。バークレイズ証券は日本における投資銀行部門の拠点として、機関投資家を中心としたお客様に金融サービスを提供しています。外資系金融企業の役割の一つは、日本では入手しにくい欧米やアジア諸国の情報、知見などを踏まえ、顧客と海外の橋渡しをすることだと考えています。現在国内には約500名の社員が在籍していますが、各々が海外の事情に精通して多くの知見を持ち、海外とのリレーションに長けた人材として活動の幅を広げています。そこに当社の価値が生まれるのではないかと思っています。
私は小学生の頃、父の仕事に伴いアメリカ・デトロイトの近郊で暮らしていました。当時1970年代は自動車の貿易摩擦で日米間が険悪になった時期で、自動車という一つの産業で栄えていた街が、その産業が傾いた途端に一変し、人々の営みも多大な影響を受けるものだということを肌で感じました。
その後、海外で仕事がしたいと考えていた私は、JPモルガンで社会人生活をスタートさせました。入社後海外赴任を希望し、ロンドンのJPモルガンで多くの経験を積んだのち、英国バークレイズ本社に転じました。2016年に現職に就いて以来、社員に繰り返し伝えてきたのは、「海外とさらに繋がって日本ビジネスの発信をしていこう」という強い思いでした。私自身も海外へ赴き説明し、海外からも多くの人を日本に呼び、協働のための対話を重ねてきました。それにより当社の日本ビジネスのステークホルダーが増えていく光景を目の当たりにしました。
このように、多くの共感者を巻き込んでいくことは、仕事を好転させていく上で重要な条件だと私は考えています。だからこそ大切なのは、直接人と会い、対話を重ねることです。「ぜひあなたの力を貸してほしい」と、オンラインではなく直に人と握手を交わすことで、得ることのできる信頼があるのではないでしょうか。それは国境を超えてこそ普遍的なものだと思います。
そして若い皆さんに伝えたいのは、プレーヤーになってほしいということです。オブザーバーになるのは60代70代になってからでも遅くはありません。若い頃は背伸びをして、自分よりワンランク上のプレーヤー、トップアスリートがいる場所で多くの学びを得てほしいと思います。私自身もこれまで、たくさんの背伸びをして意見を異にする強者たちと対峙してきました。無理だと思って引き返し、路線変更したことも多々ありますし、そのまま突き進み、成功に至ったこともあります。その全ての成功と失敗の経験が現在に繋がり、未来を作っていくのだと確信しています。皆さんもぜひ、失敗を恐れずに精一杯背伸びをしてみてください。見える景色はそこから大きく変わっていくはずです。